戦略経営の実践(リレー講義)記録 一覧

戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2012年10月27日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
テルモ株式会社
和地 孝

テルモ株式会社の経営戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

戦略経営の実践レポート(5回目)テルモ株式会社

濱田先生からリレー講義に和地名誉会長の講義が決まったと、始めてお聞きした時から、この講義を楽しみに待っていました。
テルモは、オリンパスと並び、日本の医療機器業界の中で、世界に通用する企業です。
素晴らしい業績テルモを作り上げることに成功し、「和地改革」と呼ばれる和地名誉会長の講義を聞くことが出来、非常に有意義な一日でした。感動した内容を、下記に列記します。

1.テルモの業績建て直し

curriculum-management-121027-031989年(平成元年)に、富士銀行からテルモに転籍され、専務時代から数え社長9年・会長6年を足して、約20年間経営のトップとして、テルモを現在のような、2012年3月期売上高3,867億円、営業利益630億円、当期純利益242億円という企業に変えられたことが、まず素晴らしいことだと思う。講義でお聞きしたように和地名誉会長が、富士銀行から来られた1989年~1991年の3年間は、3期連続純利益が赤字であったようだ。
その後パワーポイントで説明されたように、テルモは、売上高・経常利益とも右肩上がりで伸びてきた。いまや、過去には製品の中心であった体温計は、現在売上高の1%にしか過ぎない。いまやテルモは、企業理念である「医療を通じて社会に貢献する」を達成した企業となった。注射器:世界シェア60%もちろんNO.1、人工肺:世界シェアNO.1、バルーンカテーテル:国内トップシェア、カテーテル用ガイドワイヤー:世界シェアNO.1。
病院で使われている製品は、約10,000種類。病院・診療所で使われている医療器具は、多くがテルモ製品である。

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2.和地名誉会長が行われたことや心がけられたこと

業績が悪かった1989年頃は、社員に危機感がなかった。まずは、人を軸にした経営を心がけた。①指示待ち体質からの脱却、②人を大切にして育てる経営、③人はコストではなく、資産(リストラは良いと思えない。日本のものづくりの良さは、製品作りを人が工夫して行っていることである。さぼっていたら資産ではなく、負債になる)、④人の心に火をつける(一人一人が主役である。願望ではなく決意を持つことが重要。上司が燃えないと部下は燃えない。)社長はスタンスがぶれてはいけないし、逃げない覚悟が必要である。そのことが従業員のやる気を促す。和地名誉会長が大事にされている3つの決意:①最も難しい仕事はトップが自らやる。②選択に迷ったら、難しいほうを選ぶ。(経営においては、難しいほうは、困難ではあるが道が見えている。)③時流に流されずに自流でやる。
有言実行キャンペーン:有言実行した社員を豪華客船に600人招待⇒社員の心に火がつく。現場の誇り賞:仲間の推薦による職場単位での縁の下の力持ちに対して表彰。

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3.和地名誉会長の語録⇒魅力ある人柄を形成するもの

社会的使命感:企業は、高い経営力がなければいけない。しかし社会的使命感がないと、
存在する価値がない。美の価値観:一流のものを見ないとわからない。リーダーに求められる条件:倫理観。願望でなくて決意する。ぶれてはダメ⇒自分の考えをしっかり持つ。人間的魅力を持つことは、率直な気持ちを持つことから生まれる。(S. U)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第4回

2012年10月20日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
東京エレクトロン株式会社
東 哲郎

東京エレクトロン株式会社の経営戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

東京エレクトロン(株)取締役会長東哲郎氏から学んだこと

curriculum-management-121020-03濃厚な3時間30分の講義でした。実に様々なことを東会長から学ぶことができました。
東会長の第一声であった、『こんにちは!』が元気に満ちあふれていて、聞いた後に、清々しい気持ちになりました。

東京エレクトロンにはTEL Valuesという、5つの価値観があります。誇り、挑戦、オーナーシップ、チームワーク、自覚です。それらを12センチ×6センチくらいの長方形の紙に書いて載せて、全社員に持たせているそうです。実際は3つに折りたためるものなので、4センチ×6センチくらいの小さい紙になり、非常にコンパクトサイズなので場所を取りません。東会長は自らの財布からその価値観を取り出し、受講生全員に回覧して、見せてくれました。5つの価値観は色分けされており、カラフルでとても見やすく、視覚的に記憶しやすいように配慮されているなと思いました。裏には、英語で5つの価値観が書かれており、世界中に従業員を抱えるグローバル企業ならではと思いました。
しかし、なぜ財布の中に入れられるような小さなサイズで製作したのか。私が推測するにその理由は、5つの価値観を全社員に常に携帯し肌身離さず持ってもらい見てもらい、それらを体に心に染み込ませてほしいためだと思います。財布に入れてあるのならば、スーパーでレジを待っている時でも見ることができます。社員証を家に忘れてしまったら、代わりの身分証明になるかもしれません。全社員に共有・実践してほしい5つの価値観を会社全体に浸透させるに一役買っている優れたアイディアアイテムだと思います。

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東会長と名刺交換をさせてもらいました。表には日本語で、裏には英語で名前が書かれていました。英語名はなんとTerry Higashi でした。世界を股にかけて仕事をしていることがにじみ出ている一枚だと思いました。
東会長が会社の中で実施されてきたことの1つに、目上の人にはさん付け、というのがあります。自分より年齢が上の人、そして役職が上の人が対象となるそうです。現在私は学生オンリーの立場ですが、社会に出た暁には東会長のさん付け基準に倣い、働きます。

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今回の講義を通じて何が一番印象に残ったか。それは30分の延長でした。東会長が東京エレクトロンに入りたての頃に言われた3つの言葉があります。1つ目が大志を抱け。2つ目がリーダーシップとは、人を理解しそれぞれの良い所を引き上げること。そして、3つ目が自分を犠牲にできることです。
今回、東会長は自らの貴重な時間を削ってまで、正に自分を犠牲にしてまで、時間を延長し質疑応答をしていただきました。言ったことを実現する、正に有言実行です。そして何よりもこの延長は、一時は教育研究を目指された方だと感じました。(O.N)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第3回

2012年10月13日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
ノバルティスファーマ株式会社
三谷 宏幸

ノバルティスファーマ株式会社の経営戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

戦略経営の実践 第3回レポート:ノバルティスファーマ(株)三谷社長

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ノバルティスファーマ㈱三谷宏幸代表取締役社長のお話は「医療・製薬業界の概況と今後」「グローバル企業と日本企業」「人的管理、リーダーシップとは」というテーマで構成されていた。本レポートでは「グローバル企業と日本企業」というテーマについて述べる。

「グローバル企業と日本企業」についてのお話を拝聴する中で強く感じたのが、「日系企業の限界」である。外国企業は事業ポートフォリオの組み方、リソースの配置、人的管理、企業文化のプロデュースやマネジメントに至るまで、すべてがロジカルである。

一方、日系企業は一言でいえば、「伝統的」マネジメントである。その違いは講義当日に配布された資料内の「日本とグローバル―考え方の違い」ページ内に端的に表現されている。これは自社や顧客企業の状況を見ていても同意できる内容である。しかし思い返すと、学生時代、留学から帰国した際にも、授業内容、教員の対応、クラスメイトとの関係など、米国の学校と日本の学校を比較して同様のことを感じていた。

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留学時は、自分自身の強みを見出し、その部分に自信を持って、さらに伸ばしていこうというモチベーションが日々高まっていき、くじけることがあっても、それをもモチベーションに変える強さに後押しされる形での前向き・積極的な自己研鑽をしている自分がいた。それは互いが生まれながらに異質なものであり、だからこそ面白く、素晴らしいことだという前提があったことが、互いを認め合い、互いにシナジーを生み出そうという行動に結びついていったのだろう。

しかし、帰国した直後、三谷社長が仰っていたような、日本の、枠にはめて規定化し、標準化・公式化することを是とする文化を痛切に感じたことが強く印象に残っている。

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どんどんと伸びていこうというアグレッシブさをもつ外国、収まる範囲で収めたいと思う日本、これが現状であろう。このように考えると、想定可能な範囲を超えた現象に柔軟に対応できず、日本が世界から遅れをとっているという状況は、もはや必然であるとしかいえない。
このような状況に、自分自身どのように対応するのか、という課題は、これから中堅・管理職へとキャリアを積んでいく年齢である私のような若者に課せられた大きな課題といえる。日頃、業務やキャリアアップ、自己研鑽に努める中でも、その場の空気や目下の事項にとらわれず、より大局観をもった上で、日本の良さを堅持しながら、よりロジカルにビジネスを進めていくかということを常々考えて臨みたいと考える。(M.O)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第2回

2012年10月6日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社三菱ケミカルホールディングス 
小林 喜光

株式会社三菱ケミカルホールディングスの経営戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

三菱ケミカルホールディングス小林社長の講義を聴いて

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グローバル化する社会において、短期収益と株価の上昇に経営陣が目を奪われがちな風潮がある中、小林社長のお話しはかなり衝撃的であり、感銘を受けました。ここではその内容とそれに対する考察を述べたいと思います。

三菱ケミカルホールディングスでは、持続可能な経営をする為、MOS(Management of Sustainability)という考え方を取り入れている。地球規模の視点から環境・資源を念頭に置き、大局観を持った評価指標・判断基準としてsustainabilityを取り入れた経営をしている。経営学と技術経営軸にsustainabilityを加えた3軸からKAITEKI価値を割り出した4軸経営をうたっている。そうする事によって現在の行き過ぎた株主市場化主義・市場万能主義に警鐘を鳴らしている。

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サラリーマン社長で自分が就任している短期間の会社経営だけでなく、遙か先の時間軸で経営を見通してそれを自分の使命として働いていらっしゃる事をお聞きして、深い感動を覚えました。現在、私はエンジニアとして勤務していますが、目の前の技術に関して取り組んでいるだけであり、小林社長の言われる使命というものを考えて仕事をすることが希薄だったように感じます。一歩引いた所から俯瞰して自分の仕事を見、使命を探す事が自分の仕事のレベルを上げるために必要なことだと感じました。

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ただ、sustainabilityという軸はもっと広く考える事も出来るのではと考えます。環境・資源を考えるだけではなく、持続性という意味では経営学と技術経営軸でも必要なことではないでしょうか?経営学軸では持続性を脅かす外的要因として、日本では円高や中国・韓国との政治問題等があげられると思います。そういった状況に対しても持続性を持った経営であるという事があげられればそれが経営指標となります。具体的には円高を想定した時の財務状況と円安を想定した時とのばらつき(標準偏差)を経営指標にすれば、経営学軸でのsustainabilityに対する指標になると考えられます。また技術に関しては既に取り組まれている事が多いですが、温暖化や地震等への技術の信頼性が持続性の指標として挙げられるのではないでしょうか?そういった意味ですべての面で持続性を指標にした経営というのはもっと幅を広げることが出来、投資判断や撤退などの指標にも使えるようになるのではと考えています。(O. T)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第1回

2012年9月29日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師:
村田機械株式会社代表取締役社長
村田 大介

村田機械株式会社の経営戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

「戦略経営の実践」村田機械㈱村田大介社長の講義から学んだこと

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「やめる」ことが大切
多事業を預かる経営トップの意思決定の中で最も重要なことの一つに「やめること」を挙げられた。創業家の経営者としては、創業事業やかつて会社の業績を支えた事業から撤退するのは本当に難しい意思決定になるだろうと思われる。
事業撤退のトリガーとなるものは何であろうか。事業別の業績管理ができていることが最低条件であろう。私が所属する企業では事業部別のROIC(投下資本利益率)を主要な経営指標としている。ROICは事業を収益性と効率性の両面から捕捉するものであり、事業部は目標のROICを実現するために努力を重ねるわけであるが、その目標に届かない状態が続いている。事業撤退はそのタイミングが重要であるため、経営指標の設定にとどまらず、撤退基準やルールを明確にしておき、経営陣の意思決定にブレがないような仕組みを構築しておくことが重要であると認識した。

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「安心」「誇り」「夢」
これは村田社長が社長就任に際して、15年先の未来に向けて村田機械(以下、同社)のあるべき姿に言及したキーワードだ。高収益、ナンバーワン、オンリーワンなど経営者視点の言葉ではなく、社員目線の言葉から会社のあるべき姿を描いた点に特に共感を覚える。経営トップの思いは確実に社員に浸透され、社員の腑に落ちる必要があるが、夢を持つことがナンバーワン、オンリーワンの事業や製品を育み、それが結果的に高収益な企業体質につながり、社員が安心して働くことができる、という好循環がストーリーとして認識できるところに同社の強さがあるのだと理解した。

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「ジョーカー」、組織の縦と横
事業課題の一つとして、国際化が指摘されていた。その中で特にフォーカスしたい点は同社が求める人材像と縦と横の軸を持つ組織構造だ。 求める人材像はトランプの「ジョーカー」(=Internationalization)に喩えられていたが、これは「何にでもなることができる」という人材の柔軟性や粘り強さを意味している。組織の縦軸は事業であり、組織の横軸は機能である。「ジョーカー」とは自分の持つ専門性をどの事業でも、どの地域でも発揮することのできる機能のスペシャリストである。こうした構造は多事業を展開する同社にとって、事業間のシナジーが生み出しやすく、同時に環境の急変による事業ポートフォリオの組み換えにも効果的であると考えられる。当社でも同じような縦と横の組織構造を有しているが、縦割りの事業部軸が強く、事業横断・地域横断の横軸、すなわち機能軸が弱いのではないかと危惧しており、大きな示唆となった。(O.A)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第8回

2014年11月15日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役会長
佐治 信忠

「夢大きく、やってみなはれ」~サントリーの挑戦と革新~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

戦略経営の実践の授業で、これまで7名の経営者の方にお話をお伺いしました。経営の転換期における経営判断や、将来における投資戦略、海外展開、経営者として必要な素養などあらゆる側面から身に余るお言葉をいただきました。私の本講義の受講目的は、経営者があらゆる経営の転機にどのような考え方で戦略を立案し実行に移し成功・失敗を遂げてきたのかという思考的な側面を感じ取ること、そしてもう一つは僭越な言い方かもしれませんが、その人間性や人間味です。肌で感じることは私にとって人生における宝物になるものです。本日は、佐治様に、企業人としてどのような心構えで社会に立ち、自分を日々律するかということ教えていただきました。これまで私が9年間社会に立ち、忘れていたことや初めての気づきや言葉、持っていなければいけない志しや情熱など、根本的で実践的な精神面での刺激を数多く頂きました。

<心に響いた言葉>鳥井信治郎様と佐治敬三様の会話(親父の枕元で) 「俺はビールをやる。」 「俺はウイスキーに命をかけた、お前はビールに命を懸けるんやな。やってみなはれ。」

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■その言葉から得られた「夢大きく、やってみなはれ」 の私の解釈について
企業哲学「やってみなはれ」の精神の真意とは、“やらない”ことでのリスクは犯すな、是非やってみよう、という意味に加えて、やるなら自ら先頭に立って、必死の覚悟でやり抜かなければならないという強い意味が込められていると感じました。“チャレンジ・挑戦”という言葉が簡単に流用される社会ですが、挑戦させること・挑戦することは、個人にとっても企業にとっても生活者にとっても、その運命を変える可能性を秘めた大変重いものと受け止めなければなりません。やるからにはその運命を背負うほどの気概と覚悟が必要だと思います。そしてその後の、やると決めたことは絶対に必要なことであり、そのことを絶対的に信じ切る、その信念を貫くことは更に大切であると感じました。「日本でウィスキーをやる。必ず日本に洋酒文化が花開く。」1万人居たら1万人が反対することを、貫き通したその固い意志が、サントリーの礎となったことがその重要性を証明してくれると感じています。

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■「利益率は、将来への可能性の差である」 タコツボ社員が評価されるのはオカシイ
日本企業は売上シェアばかり気にして利益への意識が低すぎる。私は経営者が次々と代わる企業では、その経営者は任期中において経営を悪化させないことが成功とされる側面があると思います。従業員でもタコツボ社員が評価される。やらないことが評価され、やって失敗することは評価を失墜させる。そのような日本の社会性風潮は打ち破るべきだと感じました。そこには「やってみなはれ」精神が無い。もちろん前述したようにその精神は重いものでなければならない。

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 <最後に>
「へこたれず、諦めるな、夢を抱いて、やってみなはれ」 ただ言葉を頂き感心するだけでは終われません。これからの糧にするためには、それを真似することではなく、自分流にカスタマイズして、実践することが必要です。戦略経営の実践という科目名からも、貴重な話を聴くだけの場ではなく、自らの人間性や行動様式への導入を進めていかなければならないと感じました。(T・K)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第7回

2014年11月8日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
ミネベア株式会社 代表取締役社長
貝沼 由久

「当社の経営戦略と私の経営論」を拝聴して

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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学生時代に松本市で4年間過ごしました。長野県に本社のある企業としてミネベアには多少の親近感をもっています。しかしただそれだけでベアリング製造企業であるということだけでした。今回の講演を拝聴して非常に魅力的な企業であると感じました。なかでも電子機器の売上構成比が60%にも達しているということは初めて知ったことでした。規模や分野はかなり違いますが同じ機械系のメーカーとして印象に残った言葉がいくつかありましたので、その言葉と私の考えを記したいと思います。
戦国武将も経営していた。確かにお家の存続を至上命題とし、コトにあたる戦国武将は経営者であったと思います。私もNHKの大河ドラマは見ていますが、戦国ドラマの登場人物に感情移入しやすいのもそういうわけなのでしょう。戦国時代からの比較で見ると、徳川時代の大名はさしずめマネージャでしょうか。

curriculum-management-141108-HP-03サバイバル術が大事であること。想定外の事態は必ず起こることで、そのときリーダーがどう行動するかは本当に重要であると考えます。私の経験で近いところは東日本大震災です。仙台営業所と連絡がつかず状況がわからない中で、当時の社長の指示行動の中で、振り返ってみればリーダーはこうであるべきなのかもしれないと思ったエピソードがありました。東京から仙台へ支援物資を運ぶ車両を準備していたのですが一般道ではどれだけの時間がかかるかわからない状況でした。その中にあって、警察が認める緊急車両であれば東北自動車道が利用できるという情報がありました。社長は警察と交渉してこの方法がとれないか探れと指示しました。私は一民間企業が緊急車両として認められるはずが無いと思い込んでいて、社長の指示を無茶なものと思っていました。しかし結果としては緊急車両として警察の許可が出て、東北自動車道を通って仙台営業所や周辺の顧客等に支援物資を早く届けることができました。感服したものです。
できる理由を見つけること。無理だと最初からあきらめるのでなく、できる理由を見つけることができた結果だったと思います。緊急車両としての許可をもらうにあたり、当社関係者の支援だけでなく地元消防への消火器等防災資機材の支援をあわせて行うこととしました。恐らくその場で私がリーダーであったら、そのような情報を得たとしても行動はできなかったでしょう。目標達成のための固い意志が必要であり、組織としてサバイバルをするときに強いリーダーシップが重要であると感じ、講演において納得する言葉のひとつとして改めて思いをいたしました。
機械加工事業に加え2本目の柱として電子機器事業を育てたかった。収益の柱と成長の柱をたてることは、私の会社でも課題であると考えています。選択と集中が流行っていた頃、サステナビリティcurriculum-management-141108-HP-05を考慮しない資本の論理で言えば、得意分野だけに集中するのは合理的だったのでしょう。貝沼社長が投資家に言われた言葉は、当然と言えば当然です。それに抗してお家存続のための策を講じてきたのは、日本人として深く共感するところです。産業の盛衰のある時間軸を考えると過度の集中はリスクでしかなく失礼ながらシャープはその典型となってしまいました。私の会社でも収益の柱と成長の柱をたてていきたいと思っています。
 最後に、非常に率直で面白い講義を聞かせていただいてよい経験となりました。法律の勉強ももっとしなければならないとも感じました。今後の糧となる私にとって非常に有益なご講義、ありがとうございました。(Y・J)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第6回

2014年11月1日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
三菱地所株式会社 代表取締役会長
木村 惠司

都市開発のイノベーションとグローバル展開

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

1.はじめに
木村会長のお話をお聴きし印象に残った点が2点あります。1つに街づくりは我国の未来を大きく左右する事業である事と,次に社会で活躍できる人材というテーマのメッセージが含まれていた点です。

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2.街づくり
街づくりが我国の未来を大きく左右することについてでありますが,先ずは印象に残ったのは政・官・民・学がある程度の足並みを整えないと成り立たない事業であるというお話であります。
私も事業開設コンサルティング会社を経営していますので政・官・民を総合的にまとめ上げる作業の困難さを日々痛感しております。それが御社の手掛けておられる街という単位ともなればその困難さは図りしれません。
その中でも,「街づくりは文化や歴史をMIXしたものである必要がある」というお話しの中で三菱一号館を1894年当時の建物を再現し美術館として現在活用しているという言葉が非常に心に残りました。御社のブランドスローガンである「人を、想う力。街を、思う力。」を忠実に表現した素晴らしい事例だと感じ,その強い信念に感銘を受けました。
私が在学している立命館も大阪府茨木市に広大な新校舎を建設し,学部の一部を2015年度より移転します。その新校舎建設において地域の文化や歴史を考慮し,建設運営されます。街や地域住民に貢献し長期的に求められる建物として存在していく必要性を学びました。

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3.学生へのメッセージ
木村会長のお話しの中に,社会で活躍できる人材というメッセージが随所に散りばめられていました。「人間力とは頭と足と胆」,「物事に疑問を思うこと」,「大胆かつ細心」,「知識より知恵をくれ」,Leadership「大義をもって上をめざそう!」,Challenge「失敗を恐れず次のイノベーションを!」As one team「一人の力は大したことはない!」
これらのメッセージからAs one team 以外は共通した人物像が描けます。どんな困難なことでも誰かが達成する訳ですから,「困難を困難と捉えず挑戦し,自分の頭で考え,自分で調べ,自己責任の上で自分の言葉で伝え,必ず達成するという強い意思を持った人物」ではないかと思います。こういった人物は言葉に説得力があり,また,質問に対する回答が早く的確です。それは自分の頭で考えイメージがあるので,どういった角度で質問をされても回答できるのだと思います。
ここで重要となるのがAs one teamという言葉です。これは,他のメッセージとは異なり協調性を持つということに帰結すると思います。しかし,優秀な人物が大きな事を成し遂げようとすると,つい周りにも同等の能力や行動を求めてしまいますが,そうではなく,周りの力を活用し最大のパフォーマンスを発揮させることにより大きな事が成し遂げられると感じました。また,As one team がなければいくら結果を残しても,その人物が永続的にその会社とかかわる事は難しいと思われます。なぜなら軋轢が生じるからです。curriculum-management-141101-HP-05

4.まとめ
本日の木村会長のメッセージを真摯に受け取り,さらに自分を成長させます。特にAs one teamの精神とあわせて2:6:2のうちの2をいかに活用できる人物になれるかをテーマに努力します。(G・K)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2014年10月25日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
株式会社三越伊勢丹ホールディングス
代表取締役会長
石塚 邦雄

百貨店の戦略と経営マネジメント

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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人間味のある経営
石塚会長の講義をお伺いして印象に残ったことは、三越伊勢丹ホールディングスは顧客中心のサービスを重視した「ハートが熱い」企業であるということである。私自身、「高い」「年配者向け」という先入観から百貨店で買い物をすることが少ない。しかし、今回の講義の機に当社について調べてこのような印象を持った。
講義を聞いた後、JR京都伊勢丹店に行ってみた。フォーマルウェアを購入したいと思っていたがやはり高い。学生の身で仕送りとアルバイトで生活している自分にとってはすぐに購入できる価格ではなかった。スタイリスト(=販売員)に声をかけられたので事情を説明すると、セールの時期や良い品の選び方を教えてくれた。購入できず申し訳ない気持ちがあったが「高い買い物なので慎重に選んでください。」「いいモノはいくつになっても使えますのでせっかく買うならいいモノを」という言葉を聞き、販売につなげるよりもお客に気持ち良くサービスを受けてもらうことを優先していることを実感した。
このような気持ち良い接客の背景には従業員の販売の質がある。当社では販売の質の可視化や働く環境の改善を行いスタイリストの成長を促進し、顧客満足度の向上、売上拡大へと繋げていた。
ここで私が気づいたことは、このような質の高いサービスを若者世代が知らないというこだ。若者が百貨店で買い物する機会が少ないということは、レベルの高い接客を受けたことがないことを意味する。「百貨店で買い物をする」という経験が少ない世代が10年後、金銭的余裕ができた時に買い物する場所の選択肢として百貨店を選ぶ可能性が低くなるのではないか。今回のような気持ち良いサービスを受けたことが百貨店独自の魅力であると感じた。「百貨店で買い物をする」という体験が買い物方法の一つではなく、休日の過ごし方の一つとなるような戦略が今後必要ではないかと思う。

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規模の拡大=競争力
「和食」が無形文化遺産に登録されたように「日本の百貨店」が世界で有数の心地よいサービスの場所になっていってほしいと考える。その為には世界での競争に生き残る競争力が必要であると考える。
近年、経営統合が盛んに行われる理由として「せざるを得ない状況にある」ということを知った。少子高齢化と生産人口の減少により日本での売り上げ拡大には限度がある。また、競争舞台が世界へと広がり、売上やシェアは国内が基準ではなく世界と比較しなければ企業として生き残れないのである。
curriculum-management-141025-HP-05経営統合の目的は競争力の強化であり、その為に規模の拡大が必要ということを学んだ。2008年の経営統合において、伊勢丹を選定した理由は「お客様に寄り添った百貨店」という原点が三越と同じであったためである。当社はお取引組先任せの失敗からお取組先と共同し「自分たちでモノを売っていく」経営へと変革した。私は今後の当社は「日本の百貨店」となっていくだろうと予測する。顧客起点の考え方は環境の変化があっても大切にされる点であるが、すぐに定着するものではない。当社はそれが既に作られている。また、今、オールジャパンの推進という追い風も吹いている。そういったことからも、考え方を共有できる百貨店とは統合し更なる競争力を身につけ、世界で「人間味があるサービス=日本の百貨店」と言われる存在になってほしいと願う。(H・M)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第4回

2014年10月18日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
株式会社オンワードホールディングス
代表取締役会長兼社長
廣内 武

オンワードグループの国際戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

今回の講義をお聴きするまで、アパレル業界について細かい知識はなく、オンワードについても社名そのものは存じあげてはいたが、自分が直接的に購買する商品ではなかったため、身近な存在ではなかった。しかし、これまでのリレー講義の企業と決定的に違った点は自分の業界にも通じるBtoCの企業であるため、勉強になることが多々あった。

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“ブランド”という無形物を創り上げるビジネスであるが故に非常に大変さを感じた。途中に言われたハイリスクハイリターンな商売という言葉。おっしゃるとおりだと感じる。自分自身が料理を提供し、おいしいと感じてもらう仕事をしている上で非常に感じているものでもある。いくら頭をひねって論理的に思考し、たどりついた結果であっても受け入れられるか否かは消費者次第だ。結局、最終的には感性がものをいう。自分自身が気に入ろうが、それが多数の消費者の感性と一致していなければ成功にはつながらない。蓋を開けてみなければわからないのである。その中で、常にファッションの最先端を追い求めていく上でのビジネスモデルを見た気がする。

日本人としては少々残念ではあるが、やはり本場は欧州になるのだろう。そこで発信されるモードをいち早く入手し、そこから世界に発信していくことは、非常に合理的かつ正当な方法であると感じた。また、そのような環境であるからこそ、有能な意識の高いクリエーターが集まってくる。若い感性を持った才能を発掘する作業もファッション業界には不可欠な要素であるだろう。

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お話の中で出てきたジャンポール・ゴルチェ氏を発掘できたことは奇跡かもしれないが、そこに至るための過程は必然とも考えられた。日本発にこだわり続け、日本国内でのみの商売を行っていてはそのようなワールドクラスの人材を獲得することはできなかったであろう。

また、自分達の立ち位置を明確に持たれている印象も強く感じた。ユニクロ、H&Mや国内ではしまむらのようなSPA業界が市場を席捲していることは傍目から見ても周知の事実ではある。しかし、自分たちの立ち位置・市場をミドル~ハイエンド層へと明確に位置付けされている。安易に考えると、オンワードの規模・歴史から考えると巨大市場であるSPAへ参入してもおかしくないとも考えられる中、一貫し勝負を挑まない。日本代表として、ユニクロには頑張ってもらいたいと言えるその度量は非常に感銘を受けた。

路面店というものに関しても、これまで販売チャネルという概念でしか見ていなかったが、確かにブランディングという概念での出店もありえると附に落ちた。自身が出店計画を練る際、これまでは正直集客できる(儲かる)かどうかの一点でしかものを見ていなかったが、ある程度の基盤ができた上ならブランド力向上のための出店という手段も大いにあり得ると感じた。

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「感性と計数のマトリックス」という言葉が非常に耳に残り、感性がモノ言う世界でいかに経営につなげるか、非常に勉強になった。(E・N)

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