2014年度戦略経営の実践(経営者リレー講義) 一覧

戦略経営の実践(経営者リレー講義)第8回

2014年11月15日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役会長
佐治 信忠

「夢大きく、やってみなはれ」~サントリーの挑戦と革新~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

戦略経営の実践の授業で、これまで7名の経営者の方にお話をお伺いしました。経営の転換期における経営判断や、将来における投資戦略、海外展開、経営者として必要な素養などあらゆる側面から身に余るお言葉をいただきました。私の本講義の受講目的は、経営者があらゆる経営の転機にどのような考え方で戦略を立案し実行に移し成功・失敗を遂げてきたのかという思考的な側面を感じ取ること、そしてもう一つは僭越な言い方かもしれませんが、その人間性や人間味です。肌で感じることは私にとって人生における宝物になるものです。本日は、佐治様に、企業人としてどのような心構えで社会に立ち、自分を日々律するかということ教えていただきました。これまで私が9年間社会に立ち、忘れていたことや初めての気づきや言葉、持っていなければいけない志しや情熱など、根本的で実践的な精神面での刺激を数多く頂きました。

<心に響いた言葉>鳥井信治郎様と佐治敬三様の会話(親父の枕元で) 「俺はビールをやる。」 「俺はウイスキーに命をかけた、お前はビールに命を懸けるんやな。やってみなはれ。」

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■その言葉から得られた「夢大きく、やってみなはれ」 の私の解釈について
企業哲学「やってみなはれ」の精神の真意とは、“やらない”ことでのリスクは犯すな、是非やってみよう、という意味に加えて、やるなら自ら先頭に立って、必死の覚悟でやり抜かなければならないという強い意味が込められていると感じました。“チャレンジ・挑戦”という言葉が簡単に流用される社会ですが、挑戦させること・挑戦することは、個人にとっても企業にとっても生活者にとっても、その運命を変える可能性を秘めた大変重いものと受け止めなければなりません。やるからにはその運命を背負うほどの気概と覚悟が必要だと思います。そしてその後の、やると決めたことは絶対に必要なことであり、そのことを絶対的に信じ切る、その信念を貫くことは更に大切であると感じました。「日本でウィスキーをやる。必ず日本に洋酒文化が花開く。」1万人居たら1万人が反対することを、貫き通したその固い意志が、サントリーの礎となったことがその重要性を証明してくれると感じています。

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■「利益率は、将来への可能性の差である」 タコツボ社員が評価されるのはオカシイ
日本企業は売上シェアばかり気にして利益への意識が低すぎる。私は経営者が次々と代わる企業では、その経営者は任期中において経営を悪化させないことが成功とされる側面があると思います。従業員でもタコツボ社員が評価される。やらないことが評価され、やって失敗することは評価を失墜させる。そのような日本の社会性風潮は打ち破るべきだと感じました。そこには「やってみなはれ」精神が無い。もちろん前述したようにその精神は重いものでなければならない。

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 <最後に>
「へこたれず、諦めるな、夢を抱いて、やってみなはれ」 ただ言葉を頂き感心するだけでは終われません。これからの糧にするためには、それを真似することではなく、自分流にカスタマイズして、実践することが必要です。戦略経営の実践という科目名からも、貴重な話を聴くだけの場ではなく、自らの人間性や行動様式への導入を進めていかなければならないと感じました。(T・K)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第7回

2014年11月8日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
ミネベア株式会社 代表取締役社長
貝沼 由久

「当社の経営戦略と私の経営論」を拝聴して

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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学生時代に松本市で4年間過ごしました。長野県に本社のある企業としてミネベアには多少の親近感をもっています。しかしただそれだけでベアリング製造企業であるということだけでした。今回の講演を拝聴して非常に魅力的な企業であると感じました。なかでも電子機器の売上構成比が60%にも達しているということは初めて知ったことでした。規模や分野はかなり違いますが同じ機械系のメーカーとして印象に残った言葉がいくつかありましたので、その言葉と私の考えを記したいと思います。
戦国武将も経営していた。確かにお家の存続を至上命題とし、コトにあたる戦国武将は経営者であったと思います。私もNHKの大河ドラマは見ていますが、戦国ドラマの登場人物に感情移入しやすいのもそういうわけなのでしょう。戦国時代からの比較で見ると、徳川時代の大名はさしずめマネージャでしょうか。

curriculum-management-141108-HP-03サバイバル術が大事であること。想定外の事態は必ず起こることで、そのときリーダーがどう行動するかは本当に重要であると考えます。私の経験で近いところは東日本大震災です。仙台営業所と連絡がつかず状況がわからない中で、当時の社長の指示行動の中で、振り返ってみればリーダーはこうであるべきなのかもしれないと思ったエピソードがありました。東京から仙台へ支援物資を運ぶ車両を準備していたのですが一般道ではどれだけの時間がかかるかわからない状況でした。その中にあって、警察が認める緊急車両であれば東北自動車道が利用できるという情報がありました。社長は警察と交渉してこの方法がとれないか探れと指示しました。私は一民間企業が緊急車両として認められるはずが無いと思い込んでいて、社長の指示を無茶なものと思っていました。しかし結果としては緊急車両として警察の許可が出て、東北自動車道を通って仙台営業所や周辺の顧客等に支援物資を早く届けることができました。感服したものです。
できる理由を見つけること。無理だと最初からあきらめるのでなく、できる理由を見つけることができた結果だったと思います。緊急車両としての許可をもらうにあたり、当社関係者の支援だけでなく地元消防への消火器等防災資機材の支援をあわせて行うこととしました。恐らくその場で私がリーダーであったら、そのような情報を得たとしても行動はできなかったでしょう。目標達成のための固い意志が必要であり、組織としてサバイバルをするときに強いリーダーシップが重要であると感じ、講演において納得する言葉のひとつとして改めて思いをいたしました。
機械加工事業に加え2本目の柱として電子機器事業を育てたかった。収益の柱と成長の柱をたてることは、私の会社でも課題であると考えています。選択と集中が流行っていた頃、サステナビリティcurriculum-management-141108-HP-05を考慮しない資本の論理で言えば、得意分野だけに集中するのは合理的だったのでしょう。貝沼社長が投資家に言われた言葉は、当然と言えば当然です。それに抗してお家存続のための策を講じてきたのは、日本人として深く共感するところです。産業の盛衰のある時間軸を考えると過度の集中はリスクでしかなく失礼ながらシャープはその典型となってしまいました。私の会社でも収益の柱と成長の柱をたてていきたいと思っています。
 最後に、非常に率直で面白い講義を聞かせていただいてよい経験となりました。法律の勉強ももっとしなければならないとも感じました。今後の糧となる私にとって非常に有益なご講義、ありがとうございました。(Y・J)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第6回

2014年11月1日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
三菱地所株式会社 代表取締役会長
木村 惠司

都市開発のイノベーションとグローバル展開

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

1.はじめに
木村会長のお話をお聴きし印象に残った点が2点あります。1つに街づくりは我国の未来を大きく左右する事業である事と,次に社会で活躍できる人材というテーマのメッセージが含まれていた点です。

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2.街づくり
街づくりが我国の未来を大きく左右することについてでありますが,先ずは印象に残ったのは政・官・民・学がある程度の足並みを整えないと成り立たない事業であるというお話であります。
私も事業開設コンサルティング会社を経営していますので政・官・民を総合的にまとめ上げる作業の困難さを日々痛感しております。それが御社の手掛けておられる街という単位ともなればその困難さは図りしれません。
その中でも,「街づくりは文化や歴史をMIXしたものである必要がある」というお話しの中で三菱一号館を1894年当時の建物を再現し美術館として現在活用しているという言葉が非常に心に残りました。御社のブランドスローガンである「人を、想う力。街を、思う力。」を忠実に表現した素晴らしい事例だと感じ,その強い信念に感銘を受けました。
私が在学している立命館も大阪府茨木市に広大な新校舎を建設し,学部の一部を2015年度より移転します。その新校舎建設において地域の文化や歴史を考慮し,建設運営されます。街や地域住民に貢献し長期的に求められる建物として存在していく必要性を学びました。

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3.学生へのメッセージ
木村会長のお話しの中に,社会で活躍できる人材というメッセージが随所に散りばめられていました。「人間力とは頭と足と胆」,「物事に疑問を思うこと」,「大胆かつ細心」,「知識より知恵をくれ」,Leadership「大義をもって上をめざそう!」,Challenge「失敗を恐れず次のイノベーションを!」As one team「一人の力は大したことはない!」
これらのメッセージからAs one team 以外は共通した人物像が描けます。どんな困難なことでも誰かが達成する訳ですから,「困難を困難と捉えず挑戦し,自分の頭で考え,自分で調べ,自己責任の上で自分の言葉で伝え,必ず達成するという強い意思を持った人物」ではないかと思います。こういった人物は言葉に説得力があり,また,質問に対する回答が早く的確です。それは自分の頭で考えイメージがあるので,どういった角度で質問をされても回答できるのだと思います。
ここで重要となるのがAs one teamという言葉です。これは,他のメッセージとは異なり協調性を持つということに帰結すると思います。しかし,優秀な人物が大きな事を成し遂げようとすると,つい周りにも同等の能力や行動を求めてしまいますが,そうではなく,周りの力を活用し最大のパフォーマンスを発揮させることにより大きな事が成し遂げられると感じました。また,As one team がなければいくら結果を残しても,その人物が永続的にその会社とかかわる事は難しいと思われます。なぜなら軋轢が生じるからです。curriculum-management-141101-HP-05

4.まとめ
本日の木村会長のメッセージを真摯に受け取り,さらに自分を成長させます。特にAs one teamの精神とあわせて2:6:2のうちの2をいかに活用できる人物になれるかをテーマに努力します。(G・K)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2014年10月25日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
株式会社三越伊勢丹ホールディングス
代表取締役会長
石塚 邦雄

百貨店の戦略と経営マネジメント

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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人間味のある経営
石塚会長の講義をお伺いして印象に残ったことは、三越伊勢丹ホールディングスは顧客中心のサービスを重視した「ハートが熱い」企業であるということである。私自身、「高い」「年配者向け」という先入観から百貨店で買い物をすることが少ない。しかし、今回の講義の機に当社について調べてこのような印象を持った。
講義を聞いた後、JR京都伊勢丹店に行ってみた。フォーマルウェアを購入したいと思っていたがやはり高い。学生の身で仕送りとアルバイトで生活している自分にとってはすぐに購入できる価格ではなかった。スタイリスト(=販売員)に声をかけられたので事情を説明すると、セールの時期や良い品の選び方を教えてくれた。購入できず申し訳ない気持ちがあったが「高い買い物なので慎重に選んでください。」「いいモノはいくつになっても使えますのでせっかく買うならいいモノを」という言葉を聞き、販売につなげるよりもお客に気持ち良くサービスを受けてもらうことを優先していることを実感した。
このような気持ち良い接客の背景には従業員の販売の質がある。当社では販売の質の可視化や働く環境の改善を行いスタイリストの成長を促進し、顧客満足度の向上、売上拡大へと繋げていた。
ここで私が気づいたことは、このような質の高いサービスを若者世代が知らないというこだ。若者が百貨店で買い物する機会が少ないということは、レベルの高い接客を受けたことがないことを意味する。「百貨店で買い物をする」という経験が少ない世代が10年後、金銭的余裕ができた時に買い物する場所の選択肢として百貨店を選ぶ可能性が低くなるのではないか。今回のような気持ち良いサービスを受けたことが百貨店独自の魅力であると感じた。「百貨店で買い物をする」という体験が買い物方法の一つではなく、休日の過ごし方の一つとなるような戦略が今後必要ではないかと思う。

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規模の拡大=競争力
「和食」が無形文化遺産に登録されたように「日本の百貨店」が世界で有数の心地よいサービスの場所になっていってほしいと考える。その為には世界での競争に生き残る競争力が必要であると考える。
近年、経営統合が盛んに行われる理由として「せざるを得ない状況にある」ということを知った。少子高齢化と生産人口の減少により日本での売り上げ拡大には限度がある。また、競争舞台が世界へと広がり、売上やシェアは国内が基準ではなく世界と比較しなければ企業として生き残れないのである。
curriculum-management-141025-HP-05経営統合の目的は競争力の強化であり、その為に規模の拡大が必要ということを学んだ。2008年の経営統合において、伊勢丹を選定した理由は「お客様に寄り添った百貨店」という原点が三越と同じであったためである。当社はお取引組先任せの失敗からお取組先と共同し「自分たちでモノを売っていく」経営へと変革した。私は今後の当社は「日本の百貨店」となっていくだろうと予測する。顧客起点の考え方は環境の変化があっても大切にされる点であるが、すぐに定着するものではない。当社はそれが既に作られている。また、今、オールジャパンの推進という追い風も吹いている。そういったことからも、考え方を共有できる百貨店とは統合し更なる競争力を身につけ、世界で「人間味があるサービス=日本の百貨店」と言われる存在になってほしいと願う。(H・M)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第4回

2014年10月18日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
株式会社オンワードホールディングス
代表取締役会長兼社長
廣内 武

オンワードグループの国際戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

今回の講義をお聴きするまで、アパレル業界について細かい知識はなく、オンワードについても社名そのものは存じあげてはいたが、自分が直接的に購買する商品ではなかったため、身近な存在ではなかった。しかし、これまでのリレー講義の企業と決定的に違った点は自分の業界にも通じるBtoCの企業であるため、勉強になることが多々あった。

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“ブランド”という無形物を創り上げるビジネスであるが故に非常に大変さを感じた。途中に言われたハイリスクハイリターンな商売という言葉。おっしゃるとおりだと感じる。自分自身が料理を提供し、おいしいと感じてもらう仕事をしている上で非常に感じているものでもある。いくら頭をひねって論理的に思考し、たどりついた結果であっても受け入れられるか否かは消費者次第だ。結局、最終的には感性がものをいう。自分自身が気に入ろうが、それが多数の消費者の感性と一致していなければ成功にはつながらない。蓋を開けてみなければわからないのである。その中で、常にファッションの最先端を追い求めていく上でのビジネスモデルを見た気がする。

日本人としては少々残念ではあるが、やはり本場は欧州になるのだろう。そこで発信されるモードをいち早く入手し、そこから世界に発信していくことは、非常に合理的かつ正当な方法であると感じた。また、そのような環境であるからこそ、有能な意識の高いクリエーターが集まってくる。若い感性を持った才能を発掘する作業もファッション業界には不可欠な要素であるだろう。

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お話の中で出てきたジャンポール・ゴルチェ氏を発掘できたことは奇跡かもしれないが、そこに至るための過程は必然とも考えられた。日本発にこだわり続け、日本国内でのみの商売を行っていてはそのようなワールドクラスの人材を獲得することはできなかったであろう。

また、自分達の立ち位置を明確に持たれている印象も強く感じた。ユニクロ、H&Mや国内ではしまむらのようなSPA業界が市場を席捲していることは傍目から見ても周知の事実ではある。しかし、自分たちの立ち位置・市場をミドル~ハイエンド層へと明確に位置付けされている。安易に考えると、オンワードの規模・歴史から考えると巨大市場であるSPAへ参入してもおかしくないとも考えられる中、一貫し勝負を挑まない。日本代表として、ユニクロには頑張ってもらいたいと言えるその度量は非常に感銘を受けた。

路面店というものに関しても、これまで販売チャネルという概念でしか見ていなかったが、確かにブランディングという概念での出店もありえると附に落ちた。自身が出店計画を練る際、これまでは正直集客できる(儲かる)かどうかの一点でしかものを見ていなかったが、ある程度の基盤ができた上ならブランド力向上のための出店という手段も大いにあり得ると感じた。

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「感性と計数のマトリックス」という言葉が非常に耳に残り、感性がモノ言う世界でいかに経営につなげるか、非常に勉強になった。(E・N)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第3回

2014年10月11日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
丸紅株式会社 相談役
勝俣 宣夫

「丸紅の変革」を拝聴して

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

curriculum-management-141011-HP-02今回は貴重なお話を拝聴させて頂き、誠にありがとうございました。丸紅が現在もトップ企業であり続ける背景を知り、非常に勉強になりました。丸紅というと、父が勤務していた会社が取引をさせて頂いておりましたので、若い時からよく丸紅の方とお会いする機会がありました。

その活躍を見て商社マンに憧れ、将来の仕事は商社マンと考えたものです。また、高校時代からの親友が元丸紅の社員で、私の結婚式の時には遠く勤務地のバングラデシュから電報をもらいました。今年、勝俣相談役の講義を受けることを話しましたら、当時バングラデシュ事業の再建時に、何度も稟議審議委員長の勝俣相談役から厳しいお言葉をもらったとの話を聞き、今回の講義の意味が良く理解できました。私の勤務する企業は、丸紅子会社のナックスナカムラ、ミツハシ丸紅ライスとも取引があり、非常に親近感を覚えました。

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今回のお話も、私の勤務する企業とは違い、世界的な規模での事業であり、日本特有の商社の役割を理解することができ、また経営危機から脱するために尽力された内容に、深く感銘を受けました。『リーディング・カンパニーシリーズ、丸紅』(野崎雅恵、副島智一、岩谷昌樹 出版文化社新書2008)には、勝俣相談役が非財閥系の自由な気風に憧れ入社して、鬼軍曹のような熱血営業マンの上司の部下として働いておられた昭和の商社マンの姿や、胃潰瘍の時のポカリスエットのお話が書かれており、休めない商社マンの姿が良く分かりました。

さて、私が予定していました質問は、「首都圏におけるスーパーマーケット(SM)連合」についてです。現在の首都圏のSM業界は、西友はウォルマート、ライフは三菱商事、サミットは住友商事の傘下です。残るは、イオンが大株主のいなげやと東急ストア、ヤオコーです。狙い目は創業者一族が大株主のヤオコーです。ヤオコーがSM連合と大きな提携を行えば、首都圏での丸紅の勢力は拡大するのではないかと思うのです。
curriculum-management-141011-HP-03-2講義で学んだことは、過去に基盤となった事業でありながら、その役目が終わりかけてきた紙パルプ事業を如何に傷つけることなく縮小したのか、そして世の中の変化を如何にして見定めるのかということです。また過去の経営危機を忘れないこと、二度と起こさないという志を後世に伝えるため幹部に説いたお話、経営への不信感を払拭する努力のお話が印象に残りました。まとめとして、皆さんへ伝えたいことと題した中で、「克己、自制心」という言葉を学ばcurriculum-management-141011-HP-05せて頂きました。トップは責任が重く、常に孤独であること、苦しいことも耐え、恥を知り、調子に乗らないこと、トップであり続ける限り、自分に打ち勝つこと、衝動や欲望を自分の意志で抑えること、これらの言葉を今後、肝に銘じたいと思います。

最後になりましたが、今回の講義で、憧れの商社でトップを極められ、また経団連でも副会長の要職でご活躍の方のお話を拝聴しましたこと、大変貴重な経験となりました。私の属する流通業は日々変化しています。今後の丸紅とイオンとの連携の動きも気になりますが、学んだことを仕事に活かしていきたいと思います。ご多忙の折、貴重な経験談を拝聴させていただき、誠にありがとうございました。(O・I)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第2回

2014年10月4日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
三菱重工業株式会社 取締役会長
大宮 英明

「この星に、たしかな未来を」

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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同じ「スリーダイヤ」の冠で業務に携わる者としては、身が引き締まる思いで拝聴させていただいた。ピンク地ネクタイにゴールドのラペルピン、そしてストーリー性のある導入からタイトルの結びまでの講話より、大宮会長の経営者像を目の当たりにし、畏敬の念限りない思いである。

心に残る内容または興味ひかれるところが多くて、印象的な内容をひとつ選択してまとめることが難しいが、これは大事にしたいと思った言葉は「技術は騙せない」である。折しも10/5夜9時からNHKスペシャルで「防衛装備移転新三原則」のテーマをやっていた。“ユーロサトリ2014”の国際武器に向けての防衛省の思いから、小さな部品工場の思いまでが特集され、日本人の倫理感を考えるところとなった。「日本整備は芸術だ」とよく言われるが、ミニマイズが防衛装備として素晴らしい技術寄与している誇りと「人の死」に連結しているかの不安をどう考えるか、原発も飛行機も「人類生きるために必要なもの」と考えたい。だからこそ更なる平和と安全のための技術革進へと期待する。

 大宮会長curriculum-management-141004-HP-03からこぼれる言葉ひとつひとつから、当社も「三菱」の遺伝子は間違いなく同じであると頷くばかりであった。「真摯に誠実に」は、歴史から脈々と受け継がれてきた「組織」そのものを感じる。事業活動や社会貢献、環境の取り組みなども、地域から国、地球、宇宙へと、技術だけでなく「精神」が未来への道標となって、人から人へどんどんと広がっているのだと思える。  傍ら、転職してきた自分には「三菱」は特殊であるとも捉えている。慣習は選別なく根強く変わらない。まず「組織」は男性社会で成立していることに驚かずにおれない。大宮会長も「輝く女性の活躍に加速する男性リーダーのメンバー」として行動宣言策定に関わっておられるとのことであったが、当社の社長をはじめ、個人の見解としては女性の躍進等について大いなる賛成意見をよく述べられるが、「組織」は歴史そのものであり、山のように毅然たると動じず、そう簡単な変革はできない。女性の話は丁寧に聞くが意見は意見として捉えられない…「個人」と「組織」は別問題の風土に思える。
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 最後に…アナロジー思考や新しい組織設計としてのSBU制、また日立製作所との経営統合など、大転換を実践されてきた大宮会長の講話を拝聴しながら、当社においても積極推進できる「人物」はきっといることと期待し、そしてこの地球にとっても未来は確かなものと信じて止まない。(K.D)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第1回

2014年9月27日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社クラレ 相談役
和久井 康明

(株)クラレ和久井康明相談役の講義から学んだこと

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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「独自性」の重要性
今回の講義で、まず印象に残ったのは「独自」という言葉である。経営理念、事業でのこだわり、競争力、その他の局面に置いても、(株)クラレ(以下、同社)では「独自」という言葉がどの局面でも一気通貫しているものと感じられました。
経営理念における「独自技術の開発にこだわり、安易な技術導入、模倣を極力抑制する精神」、事業でのこだわりでも「真に頼むべきものは、自らの内にある力のみ、模倣や他人の知識の買収による事業は評価しない」など同社においての成長の要因は、「独自性」を開発・育成・伸長させてきた事であると認識しました。
また、同社のモデルこそが現在および将来の日本の製造業が目指すべきベンチマークとなるのではないでしょうか?日本の製造業が汎用品で大量生産・大量消費で競争をしても最早、新興国との価格競争で勝利する可能性はありません。今後、世界市場で戦って行く為には高付加価値の製品を独自技術で開発し、質的優位を確保することにより非価格競争力で勝負するしかないと考えます。

「強い財務体質」を基盤とする「選択と集中」curriculum-management-140927-HP-03
次に印象に残ったのは、事業ポートフォリオの「選択と集中」です。同社では独自技術で開発した質的優位のあるコア事業に資源(設備投資・M&A、人)を集中させるのはもちろんであるが、低採算事業については、情に流され合理性に欠けることが無い様に事業再評価基準をルール化し毎年行うことにより、選択と集中、裏を返せば淘汰と排除が行われている。
そして何より同社の強みであるのが「強い財務体質」があるからこそ、この「選択と集中」を行うことができる点である。同社の強みである独自技術はオンリーワン製品になるために顧客と一体となり用途開拓を行うためテイクオフに時間が掛かるが、これも「強い財務体質」があればこそ可能なのである。
今回の講義では、「選択と集中」は「強い財務体質」を築いてこそ行うことが出来るのだと学びました。独自技術の開発が高収益性に繋がり、高収益性が収益構造を改善し、財務体質を強化、そして強い財務体質を背景にまた独自技術を開発。この好循環を継続できたところに同社の強さがあるのだと理解しました。

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理想を貫く(サステナビリティ)
これは和久井相談役が社長としての経験のところで言及されたキーワードである。経営者の資質として決断力や発信力が重要であり、生まれながらの才能よりも人徳が重要。これらを育てる為には良質な人脈を築く事が必要。上記2つにも通じるものがあると思います。経営者となるためには汎用商品、つまり人マネでは評価に値せず、真に頼むべきは、自らの内にある力のみ。そして、その力を醸成するのは幅広く良質な人脈と、そこで得られる質的優位な経験。この好循環を継続し、自らの能力を高め、理想を継続することが大切である。今回の講義では、和久井相談役の貴重な経験談・考え方を拝聴できると共に、私にとって今後どのように人生を歩んで行くべきか大きな示唆となりました。(E.I)

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