戦略経営の実践(経営者リレー講義)第7回

2014年11月8日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
ミネベア株式会社 代表取締役社長
貝沼 由久

「当社の経営戦略と私の経営論」を拝聴して

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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学生時代に松本市で4年間過ごしました。長野県に本社のある企業としてミネベアには多少の親近感をもっています。しかしただそれだけでベアリング製造企業であるということだけでした。今回の講演を拝聴して非常に魅力的な企業であると感じました。なかでも電子機器の売上構成比が60%にも達しているということは初めて知ったことでした。規模や分野はかなり違いますが同じ機械系のメーカーとして印象に残った言葉がいくつかありましたので、その言葉と私の考えを記したいと思います。
戦国武将も経営していた。確かにお家の存続を至上命題とし、コトにあたる戦国武将は経営者であったと思います。私もNHKの大河ドラマは見ていますが、戦国ドラマの登場人物に感情移入しやすいのもそういうわけなのでしょう。戦国時代からの比較で見ると、徳川時代の大名はさしずめマネージャでしょうか。

curriculum-management-141108-HP-03サバイバル術が大事であること。想定外の事態は必ず起こることで、そのときリーダーがどう行動するかは本当に重要であると考えます。私の経験で近いところは東日本大震災です。仙台営業所と連絡がつかず状況がわからない中で、当時の社長の指示行動の中で、振り返ってみればリーダーはこうであるべきなのかもしれないと思ったエピソードがありました。東京から仙台へ支援物資を運ぶ車両を準備していたのですが一般道ではどれだけの時間がかかるかわからない状況でした。その中にあって、警察が認める緊急車両であれば東北自動車道が利用できるという情報がありました。社長は警察と交渉してこの方法がとれないか探れと指示しました。私は一民間企業が緊急車両として認められるはずが無いと思い込んでいて、社長の指示を無茶なものと思っていました。しかし結果としては緊急車両として警察の許可が出て、東北自動車道を通って仙台営業所や周辺の顧客等に支援物資を早く届けることができました。感服したものです。
できる理由を見つけること。無理だと最初からあきらめるのでなく、できる理由を見つけることができた結果だったと思います。緊急車両としての許可をもらうにあたり、当社関係者の支援だけでなく地元消防への消火器等防災資機材の支援をあわせて行うこととしました。恐らくその場で私がリーダーであったら、そのような情報を得たとしても行動はできなかったでしょう。目標達成のための固い意志が必要であり、組織としてサバイバルをするときに強いリーダーシップが重要であると感じ、講演において納得する言葉のひとつとして改めて思いをいたしました。
機械加工事業に加え2本目の柱として電子機器事業を育てたかった。収益の柱と成長の柱をたてることは、私の会社でも課題であると考えています。選択と集中が流行っていた頃、サステナビリティcurriculum-management-141108-HP-05を考慮しない資本の論理で言えば、得意分野だけに集中するのは合理的だったのでしょう。貝沼社長が投資家に言われた言葉は、当然と言えば当然です。それに抗してお家存続のための策を講じてきたのは、日本人として深く共感するところです。産業の盛衰のある時間軸を考えると過度の集中はリスクでしかなく失礼ながらシャープはその典型となってしまいました。私の会社でも収益の柱と成長の柱をたてていきたいと思っています。
 最後に、非常に率直で面白い講義を聞かせていただいてよい経験となりました。法律の勉強ももっとしなければならないとも感じました。今後の糧となる私にとって非常に有益なご講義、ありがとうございました。(Y・J)

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