戦略経営の実践(経営者リレー講義)第2回

2012年10月6日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社三菱ケミカルホールディングス 
小林 喜光

株式会社三菱ケミカルホールディングスの経営戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

三菱ケミカルホールディングス小林社長の講義を聴いて

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グローバル化する社会において、短期収益と株価の上昇に経営陣が目を奪われがちな風潮がある中、小林社長のお話しはかなり衝撃的であり、感銘を受けました。ここではその内容とそれに対する考察を述べたいと思います。

三菱ケミカルホールディングスでは、持続可能な経営をする為、MOS(Management of Sustainability)という考え方を取り入れている。地球規模の視点から環境・資源を念頭に置き、大局観を持った評価指標・判断基準としてsustainabilityを取り入れた経営をしている。経営学と技術経営軸にsustainabilityを加えた3軸からKAITEKI価値を割り出した4軸経営をうたっている。そうする事によって現在の行き過ぎた株主市場化主義・市場万能主義に警鐘を鳴らしている。

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サラリーマン社長で自分が就任している短期間の会社経営だけでなく、遙か先の時間軸で経営を見通してそれを自分の使命として働いていらっしゃる事をお聞きして、深い感動を覚えました。現在、私はエンジニアとして勤務していますが、目の前の技術に関して取り組んでいるだけであり、小林社長の言われる使命というものを考えて仕事をすることが希薄だったように感じます。一歩引いた所から俯瞰して自分の仕事を見、使命を探す事が自分の仕事のレベルを上げるために必要なことだと感じました。

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ただ、sustainabilityという軸はもっと広く考える事も出来るのではと考えます。環境・資源を考えるだけではなく、持続性という意味では経営学と技術経営軸でも必要なことではないでしょうか?経営学軸では持続性を脅かす外的要因として、日本では円高や中国・韓国との政治問題等があげられると思います。そういった状況に対しても持続性を持った経営であるという事があげられればそれが経営指標となります。具体的には円高を想定した時の財務状況と円安を想定した時とのばらつき(標準偏差)を経営指標にすれば、経営学軸でのsustainabilityに対する指標になると考えられます。また技術に関しては既に取り組まれている事が多いですが、温暖化や地震等への技術の信頼性が持続性の指標として挙げられるのではないでしょうか?そういった意味ですべての面で持続性を指標にした経営というのはもっと幅を広げることが出来、投資判断や撤退などの指標にも使えるようになるのではと考えています。(O. T)

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