戦略経営の実践(経営者リレー講義)第8回

2014年11月15日(土)

curriculum-management-141115-HP-01
国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役会長
佐治 信忠

「夢大きく、やってみなはれ」~サントリーの挑戦と革新~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

戦略経営の実践の授業で、これまで7名の経営者の方にお話をお伺いしました。経営の転換期における経営判断や、将来における投資戦略、海外展開、経営者として必要な素養などあらゆる側面から身に余るお言葉をいただきました。私の本講義の受講目的は、経営者があらゆる経営の転機にどのような考え方で戦略を立案し実行に移し成功・失敗を遂げてきたのかという思考的な側面を感じ取ること、そしてもう一つは僭越な言い方かもしれませんが、その人間性や人間味です。肌で感じることは私にとって人生における宝物になるものです。本日は、佐治様に、企業人としてどのような心構えで社会に立ち、自分を日々律するかということ教えていただきました。これまで私が9年間社会に立ち、忘れていたことや初めての気づきや言葉、持っていなければいけない志しや情熱など、根本的で実践的な精神面での刺激を数多く頂きました。

<心に響いた言葉>鳥井信治郎様と佐治敬三様の会話(親父の枕元で) 「俺はビールをやる。」 「俺はウイスキーに命をかけた、お前はビールに命を懸けるんやな。やってみなはれ。」

curriculum-management-141115-HP-02

■その言葉から得られた「夢大きく、やってみなはれ」 の私の解釈について
企業哲学「やってみなはれ」の精神の真意とは、“やらない”ことでのリスクは犯すな、是非やってみよう、という意味に加えて、やるなら自ら先頭に立って、必死の覚悟でやり抜かなければならないという強い意味が込められていると感じました。“チャレンジ・挑戦”という言葉が簡単に流用される社会ですが、挑戦させること・挑戦することは、個人にとっても企業にとっても生活者にとっても、その運命を変える可能性を秘めた大変重いものと受け止めなければなりません。やるからにはその運命を背負うほどの気概と覚悟が必要だと思います。そしてその後の、やると決めたことは絶対に必要なことであり、そのことを絶対的に信じ切る、その信念を貫くことは更に大切であると感じました。「日本でウィスキーをやる。必ず日本に洋酒文化が花開く。」1万人居たら1万人が反対することを、貫き通したその固い意志が、サントリーの礎となったことがその重要性を証明してくれると感じています。

curriculum-management-141115-HP-03-2

 

■「利益率は、将来への可能性の差である」 タコツボ社員が評価されるのはオカシイ
日本企業は売上シェアばかり気にして利益への意識が低すぎる。私は経営者が次々と代わる企業では、その経営者は任期中において経営を悪化させないことが成功とされる側面があると思います。従業員でもタコツボ社員が評価される。やらないことが評価され、やって失敗することは評価を失墜させる。そのような日本の社会性風潮は打ち破るべきだと感じました。そこには「やってみなはれ」精神が無い。もちろん前述したようにその精神は重いものでなければならない。

curriculum-management-141115-HP-05

 <最後に>
「へこたれず、諦めるな、夢を抱いて、やってみなはれ」 ただ言葉を頂き感心するだけでは終われません。これからの糧にするためには、それを真似することではなく、自分流にカスタマイズして、実践することが必要です。戦略経営の実践という科目名からも、貴重な話を聴くだけの場ではなく、自らの人間性や行動様式への導入を進めていかなければならないと感じました。(T・K)

curriculum-management-141115-HP-04