戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2012年10月27日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
テルモ株式会社
和地 孝

テルモ株式会社の経営戦略

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

戦略経営の実践レポート(5回目)テルモ株式会社

濱田先生からリレー講義に和地名誉会長の講義が決まったと、始めてお聞きした時から、この講義を楽しみに待っていました。
テルモは、オリンパスと並び、日本の医療機器業界の中で、世界に通用する企業です。
素晴らしい業績テルモを作り上げることに成功し、「和地改革」と呼ばれる和地名誉会長の講義を聞くことが出来、非常に有意義な一日でした。感動した内容を、下記に列記します。

1.テルモの業績建て直し

curriculum-management-121027-031989年(平成元年)に、富士銀行からテルモに転籍され、専務時代から数え社長9年・会長6年を足して、約20年間経営のトップとして、テルモを現在のような、2012年3月期売上高3,867億円、営業利益630億円、当期純利益242億円という企業に変えられたことが、まず素晴らしいことだと思う。講義でお聞きしたように和地名誉会長が、富士銀行から来られた1989年~1991年の3年間は、3期連続純利益が赤字であったようだ。
その後パワーポイントで説明されたように、テルモは、売上高・経常利益とも右肩上がりで伸びてきた。いまや、過去には製品の中心であった体温計は、現在売上高の1%にしか過ぎない。いまやテルモは、企業理念である「医療を通じて社会に貢献する」を達成した企業となった。注射器:世界シェア60%もちろんNO.1、人工肺:世界シェアNO.1、バルーンカテーテル:国内トップシェア、カテーテル用ガイドワイヤー:世界シェアNO.1。
病院で使われている製品は、約10,000種類。病院・診療所で使われている医療器具は、多くがテルモ製品である。

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2.和地名誉会長が行われたことや心がけられたこと

業績が悪かった1989年頃は、社員に危機感がなかった。まずは、人を軸にした経営を心がけた。①指示待ち体質からの脱却、②人を大切にして育てる経営、③人はコストではなく、資産(リストラは良いと思えない。日本のものづくりの良さは、製品作りを人が工夫して行っていることである。さぼっていたら資産ではなく、負債になる)、④人の心に火をつける(一人一人が主役である。願望ではなく決意を持つことが重要。上司が燃えないと部下は燃えない。)社長はスタンスがぶれてはいけないし、逃げない覚悟が必要である。そのことが従業員のやる気を促す。和地名誉会長が大事にされている3つの決意:①最も難しい仕事はトップが自らやる。②選択に迷ったら、難しいほうを選ぶ。(経営においては、難しいほうは、困難ではあるが道が見えている。)③時流に流されずに自流でやる。
有言実行キャンペーン:有言実行した社員を豪華客船に600人招待⇒社員の心に火がつく。現場の誇り賞:仲間の推薦による職場単位での縁の下の力持ちに対して表彰。

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3.和地名誉会長の語録⇒魅力ある人柄を形成するもの

社会的使命感:企業は、高い経営力がなければいけない。しかし社会的使命感がないと、
存在する価値がない。美の価値観:一流のものを見ないとわからない。リーダーに求められる条件:倫理観。願望でなくて決意する。ぶれてはダメ⇒自分の考えをしっかり持つ。人間的魅力を持つことは、率直な気持ちを持つことから生まれる。(S. U)

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