戦略経営の実践(経営者リレー講義)第3回
2014年10月11日(土)
「丸紅の変革」を拝聴して
以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。
今回は貴重なお話を拝聴させて頂き、誠にありがとうございました。丸紅が現在もトップ企業であり続ける背景を知り、非常に勉強になりました。丸紅というと、父が勤務していた会社が取引をさせて頂いておりましたので、若い時からよく丸紅の方とお会いする機会がありました。
その活躍を見て商社マンに憧れ、将来の仕事は商社マンと考えたものです。また、高校時代からの親友が元丸紅の社員で、私の結婚式の時には遠く勤務地のバングラデシュから電報をもらいました。今年、勝俣相談役の講義を受けることを話しましたら、当時バングラデシュ事業の再建時に、何度も稟議審議委員長の勝俣相談役から厳しいお言葉をもらったとの話を聞き、今回の講義の意味が良く理解できました。私の勤務する企業は、丸紅子会社のナックスナカムラ、ミツハシ丸紅ライスとも取引があり、非常に親近感を覚えました。

今回のお話も、私の勤務する企業とは違い、世界的な規模での事業であり、日本特有の商社の役割を理解することができ、また経営危機から脱するために尽力された内容に、深く感銘を受けました。『リーディング・カンパニーシリーズ、丸紅』(野崎雅恵、副島智一、岩谷昌樹 出版文化社新書2008)には、勝俣相談役が非財閥系の自由な気風に憧れ入社して、鬼軍曹のような熱血営業マンの上司の部下として働いておられた昭和の商社マンの姿や、胃潰瘍の時のポカリスエットのお話が書かれており、休めない商社マンの姿が良く分かりました。
さて、私が予定していました質問は、「首都圏におけるスーパーマーケット(SM)連合」についてです。現在の首都圏のSM業界は、西友はウォルマート、ライフは三菱商事、サミットは住友商事の傘下です。残るは、イオンが大株主のいなげやと東急ストア、ヤオコーです。狙い目は創業者一族が大株主のヤオコーです。ヤオコーがSM連合と大きな提携を行えば、首都圏での丸紅の勢力は拡大するのではないかと思うのです。
2014 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-141011-HP-03-2.jpg)
講義で学んだことは、過去に基盤となった事業でありながら、その役目が終わりかけてきた紙パルプ事業を如何に傷つけることなく縮小したのか、そして世の中の変化を如何にして見定めるのかということです。また過去の経営危機を忘れないこと、二度と起こさないという志を後世に伝えるため幹部に説いたお話、経営への不信感を払拭する努力のお話が印象に残りました。まとめとして、皆さんへ伝えたいことと題した中で、「克己、自制心」という言葉を学ば
せて頂きました。トップは責任が重く、常に孤独であること、苦しいことも耐え、恥を知り、調子に乗らないこと、トップであり続ける限り、自分に打ち勝つこと、衝動や欲望を自分の意志で抑えること、これらの言葉を今後、肝に銘じたいと思います。
最後になりましたが、今回の講義で、憧れの商社でトップを極められ、また経団連でも副会長の要職でご活躍の方のお話を拝聴しましたこと、大変貴重な経験となりました。私の属する流通業は日々変化しています。今後の丸紅とイオンとの連携の動きも気になりますが、学んだことを仕事に活かしていきたいと思います。ご多忙の折、貴重な経験談を拝聴させていただき、誠にありがとうございました。(O・I)




大宮会長
からこぼれる言葉ひとつひとつから、当社も「三菱」の遺伝子は間違いなく同じであると頷くばかりであった。「真摯に誠実に」は、歴史から脈々と受け継がれてきた「組織」そのものを感じる。事業活動や社会貢献、環境の取り組みなども、地域から国、地球、宇宙へと、技術だけでなく「精神」が未来への道標となって、人から人へどんどんと広がっているのだと思える。 傍ら、転職してきた自分には「三菱」は特殊であるとも捉えている。慣習は選別なく根強く変わらない。まず「組織」は男性社会で成立していることに驚かずにおれない。大宮会長も「輝く女性の活躍に加速する男性リーダーのメンバー」として行動宣言策定に関わっておられるとのことであったが、当社の社長をはじめ、個人の見解としては女性の躍進等について大いなる賛成意見をよく述べられるが、「組織」は歴史そのものであり、山のように毅然たると動じず、そう簡単な変革はできない。女性の話は丁寧に聞くが意見は意見として捉えられない…「個人」と「組織」は別問題の風土に思える。
最後に…アナロジー思考や新しい組織設計としてのSBU制、また日立製作所との経営統合など、大転換を実践されてきた大宮会長の講話を拝聴しながら、当社においても積極推進できる「人物」はきっといることと期待し、そしてこの地球にとっても未来は確かなものと信じて止まない。(K.D)

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。
「強い財務体質」を基盤とする「選択と集中」

2014 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-140927-HP-05.jpg)


2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161119-hp-03.jpg)

2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161119-hp-01.jpg)
三つ目の「勇気」は、外国人後継者の選定です。後継者選定においては創業家や抵抗勢力の中で、「残念ながら現在はグローバルで戦える日本人の人材がいない」と論理的に選定されました。非常に勇気ある選択であると同時に精神的にも肉体的に過酷な選択であったと容易に想像できます。何もしないことは最大のリスクというポリシーと決断力、そして武田薬品工業がグローバル競争の中で生き残るためには誰かがしないといけないという長谷川会長の使命感を強く感じました。

2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161112-hp-05.jpg)


更に、東レは既存の技術を追求するだけでなく、新たな技術創出にも積極的に取り組んでいる。研究所では、研究テーマとして設定する前に、アングラ研究としてそこに20%までの時間を費やすことを許容しており、それが新しい技術の種となるとともに、技術者のモチベーションアップにもつながる。東レの全ての研究・技術開発を統括する技術センターで分断されていない研究・技術開発体制を組み、シナジーを生みだしている。また、オープンイノベーションを推進し、異分野の技術や知見が融合し、新しい技術を作り上げている。

2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161105-hp-03.jpg)
特筆すべきは、他社とは一線を画す完成された企業理念です。緻密なフレームワークで構成され、実に体系的、今まで見たことがないほど完成されており圧巻の一言です。そして経営の最終目標で本講義のテーマでもある”真のグローバル企業 業界において全てに「断トツ」”は、トップカンパニーでありながら、さらなる高みを目指す姿が如何にもブリヂストンのマインドを表現しています。2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161105-hp-01.jpg)



この度の講義では「日本製紙、二つの危機を乗り越え明日への軌跡を描く」と題し講演いただきましたが、二つ目の危機である東日本大震災からの復興談話は感慨深いものでありました。石巻工場での復興に関するDVDは工場で働く従業員の想いが伝わる素晴らしいものでした。会社とは家族のことを守る大切な場であります。その会社を想うということは、家族を想うことと何も変わりません。石巻工場の皆さんは、大津波という未曾有の災害で会社の大切さを改めて知られたのだと思います。
芳賀会長はトップとして果たすべき役割を解りやすくご説明していただきました。先ずは自分の目で見ることで判断や決断が出来る。そしていつまでに何をするかという明確な目標を決めると仰っていました。様々なケースで目標設定や期日設定は行われていると思いますが、町が崩壊し自社工場も崩壊に近い状況での目標設定は誰しもが経験することではありません。過去のデータやご自身も体験されたことのない状況では通常、適切な判断はできないでしょう。しかし、奇跡的にも死者が出ず設備が復旧できる状態であったことが芳賀会長に適切な判断をさせてくれたのではないでしょうか。人が生き設備が生きることで、石巻工場は復興へと向かうとてつもないパワーを生むことができたのです。2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科)_ 立命館大学_files/curriculum-management-161029-hp-01.jpg)



2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161022-hp-03.jpg)


ご講演を通じて感じたことは、小川相談役の飾らないお人柄、意見は相手の役職に関わらず言う、トラブルにすぐ首を突っ込む等、リーダーとしての魅力ある人間性と覚悟を感じました。様々なヒト・コトに興味を持って「感性」と磨き、私も小川相談役がなされたような風土改革を自社でも巻き起こしたいと思います。お伺いしたいことは沢山ございますが、今回はご講演を拝聴出来て、本当に良かったです。

2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161015-hp-03.jpg)

2016 _ カリキュラム _ ビジネススクール(大学院経営管理研究科) _ 立命館大学_files/curriculum-management-161015-hp-01.jpg)



マツダは、フォード傘下時代に定めたブランド戦略「zoom-zoom」によって、自らの生きる道を定めた。だからこそ、その道で勝つために、あらゆる側面においてベストを尽くした車をつくる。やることとやらないことを明確にし、定めたところで戦い結果を出す姿勢は、ぶれないものづくりの軸を明確に示す。そのために必要な経営として、「ソロバン」だけでなく「ロマン」も両方が大事と金井会長はお考えになり行動された。ここには、企業(とりわけ製造業)の経営に必要な要素が凝縮されていると感じる。技術者であろうと、管理系であろうと、およそ企業に勤める「人」を動かし、底力を引き出そうとすれば、特に「ロマン」の側面が重要である。人が力を発揮し成長するのは、将来に希望を持ち、夢を語り合えるような環境の中で、のびのびと達成すべき挑戦課題に立ち向かうときだと思う。ご自身が技術者のバックグラウンドをお持ちであり現場を知っている、そして、マツダの歴史と共に歩んでこられた金井会長だからこそ、人事施策も含めてその指揮を執ることができたのだと言える。

マツダといえば走る歓びを感じさせてくれるブランドだが、一歩進んで、その歓びを教えてくれるブランドにする。そのようなブランドは他にない。私がマツダの歴史やものづくり、経営を知ったことがきっかけで「マツダの車なら運転してみたい」と思ったように、伝え方や巻き込み方(教習所のペーパードライバー講習と組んだ試乗イベント等)の新たなアプローチに期待したい。マツダなら実現できると確信する。(U・R)