戦略経営の実践(リレー講義)記録 一覧

戦略経営の実践(経営者リレー講義)第3回

2014年10月11日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
丸紅株式会社 相談役
勝俣 宣夫

「丸紅の変革」を拝聴して

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

curriculum-management-141011-HP-02今回は貴重なお話を拝聴させて頂き、誠にありがとうございました。丸紅が現在もトップ企業であり続ける背景を知り、非常に勉強になりました。丸紅というと、父が勤務していた会社が取引をさせて頂いておりましたので、若い時からよく丸紅の方とお会いする機会がありました。

その活躍を見て商社マンに憧れ、将来の仕事は商社マンと考えたものです。また、高校時代からの親友が元丸紅の社員で、私の結婚式の時には遠く勤務地のバングラデシュから電報をもらいました。今年、勝俣相談役の講義を受けることを話しましたら、当時バングラデシュ事業の再建時に、何度も稟議審議委員長の勝俣相談役から厳しいお言葉をもらったとの話を聞き、今回の講義の意味が良く理解できました。私の勤務する企業は、丸紅子会社のナックスナカムラ、ミツハシ丸紅ライスとも取引があり、非常に親近感を覚えました。

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今回のお話も、私の勤務する企業とは違い、世界的な規模での事業であり、日本特有の商社の役割を理解することができ、また経営危機から脱するために尽力された内容に、深く感銘を受けました。『リーディング・カンパニーシリーズ、丸紅』(野崎雅恵、副島智一、岩谷昌樹 出版文化社新書2008)には、勝俣相談役が非財閥系の自由な気風に憧れ入社して、鬼軍曹のような熱血営業マンの上司の部下として働いておられた昭和の商社マンの姿や、胃潰瘍の時のポカリスエットのお話が書かれており、休めない商社マンの姿が良く分かりました。

さて、私が予定していました質問は、「首都圏におけるスーパーマーケット(SM)連合」についてです。現在の首都圏のSM業界は、西友はウォルマート、ライフは三菱商事、サミットは住友商事の傘下です。残るは、イオンが大株主のいなげやと東急ストア、ヤオコーです。狙い目は創業者一族が大株主のヤオコーです。ヤオコーがSM連合と大きな提携を行えば、首都圏での丸紅の勢力は拡大するのではないかと思うのです。
curriculum-management-141011-HP-03-2講義で学んだことは、過去に基盤となった事業でありながら、その役目が終わりかけてきた紙パルプ事業を如何に傷つけることなく縮小したのか、そして世の中の変化を如何にして見定めるのかということです。また過去の経営危機を忘れないこと、二度と起こさないという志を後世に伝えるため幹部に説いたお話、経営への不信感を払拭する努力のお話が印象に残りました。まとめとして、皆さんへ伝えたいことと題した中で、「克己、自制心」という言葉を学ばcurriculum-management-141011-HP-05せて頂きました。トップは責任が重く、常に孤独であること、苦しいことも耐え、恥を知り、調子に乗らないこと、トップであり続ける限り、自分に打ち勝つこと、衝動や欲望を自分の意志で抑えること、これらの言葉を今後、肝に銘じたいと思います。

最後になりましたが、今回の講義で、憧れの商社でトップを極められ、また経団連でも副会長の要職でご活躍の方のお話を拝聴しましたこと、大変貴重な経験となりました。私の属する流通業は日々変化しています。今後の丸紅とイオンとの連携の動きも気になりますが、学んだことを仕事に活かしていきたいと思います。ご多忙の折、貴重な経験談を拝聴させていただき、誠にありがとうございました。(O・I)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第2回

2014年10月4日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
三菱重工業株式会社 取締役会長
大宮 英明

「この星に、たしかな未来を」

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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同じ「スリーダイヤ」の冠で業務に携わる者としては、身が引き締まる思いで拝聴させていただいた。ピンク地ネクタイにゴールドのラペルピン、そしてストーリー性のある導入からタイトルの結びまでの講話より、大宮会長の経営者像を目の当たりにし、畏敬の念限りない思いである。

心に残る内容または興味ひかれるところが多くて、印象的な内容をひとつ選択してまとめることが難しいが、これは大事にしたいと思った言葉は「技術は騙せない」である。折しも10/5夜9時からNHKスペシャルで「防衛装備移転新三原則」のテーマをやっていた。“ユーロサトリ2014”の国際武器に向けての防衛省の思いから、小さな部品工場の思いまでが特集され、日本人の倫理感を考えるところとなった。「日本整備は芸術だ」とよく言われるが、ミニマイズが防衛装備として素晴らしい技術寄与している誇りと「人の死」に連結しているかの不安をどう考えるか、原発も飛行機も「人類生きるために必要なもの」と考えたい。だからこそ更なる平和と安全のための技術革進へと期待する。

 大宮会長curriculum-management-141004-HP-03からこぼれる言葉ひとつひとつから、当社も「三菱」の遺伝子は間違いなく同じであると頷くばかりであった。「真摯に誠実に」は、歴史から脈々と受け継がれてきた「組織」そのものを感じる。事業活動や社会貢献、環境の取り組みなども、地域から国、地球、宇宙へと、技術だけでなく「精神」が未来への道標となって、人から人へどんどんと広がっているのだと思える。  傍ら、転職してきた自分には「三菱」は特殊であるとも捉えている。慣習は選別なく根強く変わらない。まず「組織」は男性社会で成立していることに驚かずにおれない。大宮会長も「輝く女性の活躍に加速する男性リーダーのメンバー」として行動宣言策定に関わっておられるとのことであったが、当社の社長をはじめ、個人の見解としては女性の躍進等について大いなる賛成意見をよく述べられるが、「組織」は歴史そのものであり、山のように毅然たると動じず、そう簡単な変革はできない。女性の話は丁寧に聞くが意見は意見として捉えられない…「個人」と「組織」は別問題の風土に思える。
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 最後に…アナロジー思考や新しい組織設計としてのSBU制、また日立製作所との経営統合など、大転換を実践されてきた大宮会長の講話を拝聴しながら、当社においても積極推進できる「人物」はきっといることと期待し、そしてこの地球にとっても未来は確かなものと信じて止まない。(K.D)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第1回

2014年9月27日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社クラレ 相談役
和久井 康明

(株)クラレ和久井康明相談役の講義から学んだこと

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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「独自性」の重要性
今回の講義で、まず印象に残ったのは「独自」という言葉である。経営理念、事業でのこだわり、競争力、その他の局面に置いても、(株)クラレ(以下、同社)では「独自」という言葉がどの局面でも一気通貫しているものと感じられました。
経営理念における「独自技術の開発にこだわり、安易な技術導入、模倣を極力抑制する精神」、事業でのこだわりでも「真に頼むべきものは、自らの内にある力のみ、模倣や他人の知識の買収による事業は評価しない」など同社においての成長の要因は、「独自性」を開発・育成・伸長させてきた事であると認識しました。
また、同社のモデルこそが現在および将来の日本の製造業が目指すべきベンチマークとなるのではないでしょうか?日本の製造業が汎用品で大量生産・大量消費で競争をしても最早、新興国との価格競争で勝利する可能性はありません。今後、世界市場で戦って行く為には高付加価値の製品を独自技術で開発し、質的優位を確保することにより非価格競争力で勝負するしかないと考えます。

「強い財務体質」を基盤とする「選択と集中」curriculum-management-140927-HP-03
次に印象に残ったのは、事業ポートフォリオの「選択と集中」です。同社では独自技術で開発した質的優位のあるコア事業に資源(設備投資・M&A、人)を集中させるのはもちろんであるが、低採算事業については、情に流され合理性に欠けることが無い様に事業再評価基準をルール化し毎年行うことにより、選択と集中、裏を返せば淘汰と排除が行われている。
そして何より同社の強みであるのが「強い財務体質」があるからこそ、この「選択と集中」を行うことができる点である。同社の強みである独自技術はオンリーワン製品になるために顧客と一体となり用途開拓を行うためテイクオフに時間が掛かるが、これも「強い財務体質」があればこそ可能なのである。
今回の講義では、「選択と集中」は「強い財務体質」を築いてこそ行うことが出来るのだと学びました。独自技術の開発が高収益性に繋がり、高収益性が収益構造を改善し、財務体質を強化、そして強い財務体質を背景にまた独自技術を開発。この好循環を継続できたところに同社の強さがあるのだと理解しました。

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理想を貫く(サステナビリティ)
これは和久井相談役が社長としての経験のところで言及されたキーワードである。経営者の資質として決断力や発信力が重要であり、生まれながらの才能よりも人徳が重要。これらを育てる為には良質な人脈を築く事が必要。上記2つにも通じるものがあると思います。経営者となるためには汎用商品、つまり人マネでは評価に値せず、真に頼むべきは、自らの内にある力のみ。そして、その力を醸成するのは幅広く良質な人脈と、そこで得られる質的優位な経験。この好循環を継続し、自らの能力を高め、理想を継続することが大切である。今回の講義では、和久井相談役の貴重な経験談・考え方を拝聴できると共に、私にとって今後どのように人生を歩んで行くべきか大きな示唆となりました。(E.I)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第8回

2016年11月19日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
武田薬品工業株式会社 取締役会長
長谷川 閑史

タケダのグローバル化への挑戦

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

講義で特に印象に残ったキーワードは、「変化を恐れるな」、「耐える」、「勇気」です。 一つ目の「変化を恐れるな」は、冒頭「何もしないことは死んでいるのと同じ、最大のリスクテーキング」と言い切られたところです。このフレーズを聞いて何か背筋が伸びました。本来の経営者の仕事である勇気をもって変革を起こし続けることを忘れていた気がします。いや、やらなければいけないことが解っていても出来るだけ後回しにしてきた気がします。何もしないことは最大のリスクであるということを肝に銘じようと思いました。

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二つ目の「耐える」は、2つの大型M&Aを行ってすぐには結果が出ず、株主総会や多くの場面でキツイ嫌味な意見を言われてきたことに対し「いじられることに耐えるのも経営者」と堂々とお話されたところです。経営環境の変化が激しい今日、多くのことが予測困難な上、すぐに結果が求められます。しかし、そんなに計算どおりに物事は進みません。目先の数字を追い求めて一喜一憂、駄目な場合はどうしても心が折れてしまいます。でも長谷川会長は自分を信じて結果を信じ堂々と行動・実施されておられます。また、そのために周囲を説得し、巻き込む力も大事というお話もありました。決断したことを前に実行させるにも人の巻き込みが大切であることを教えていただきました。また、「耐える」というのはタケダイズムの「不屈」にも繋がります。誠実・公正・正直・不屈のタケダイズム。長谷川会長の誠実さが大型M&Aの行動力につながり、公正に正直に判断され、批判や反対勢力に対しても不屈で実行できたように思います。

curriculum-management-161119-hp-01三つ目の「勇気」は、外国人後継者の選定です。後継者選定においては創業家や抵抗勢力の中で、「残念ながら現在はグローバルで戦える日本人の人材がいない」と論理的に選定されました。非常に勇気ある選択であると同時に精神的にも肉体的に過酷な選択であったと容易に想像できます。何もしないことは最大のリスクというポリシーと決断力、そして武田薬品工業がグローバル競争の中で生き残るためには誰かがしないといけないという長谷川会長の使命感を強く感じました。

 

講義後の質問タイムで、経営者として大切なことは、①公私混同しない ②勇気・決断力 ③精神的なスタミナと3つを出されました。上記で私が印象に残ったキーワードと大きくかぶっていますが、経営者の資質として必要なことは、将来の会社のため<公私混同しない>ということや人を巻き込みながら判断<勇気・決断力>、動じない気持ち<精神的なスタミナ>だと再認識しました。

ボストンとシリコンバレーの成功要因として、多民族で多種多様な人が毎日ぶつかり合いながら、そのクラッシュが力になるというお話でした。ひとりの人間ができることは限りがある。ひとつの国でも同じ、まさに文化や文明というのは交じり合って揉まれながら進化していく。私もひとりのひとつの考えではなく、恐れずに多くの多種多様な人と意見を戦わせてそれを力にしたいと思いました。本日は本当に有難うございました。(Y・S)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第7回

2016年11月12日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
東レ株式会社 代表取締役社長
日覺 昭廣

日本的経営を貫き、グローバルで勝つ 東レの経営方針と実践事例

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

『大学院を修了後大きなプラント作りをしたかったため東レに入社した』という日覺社長は、自らの現場経験を元に、文化の異なる欧米の現場を管理する立場となっても、自ら工具をもって工場を回り現場の大切さを社員に伝道され現場主義を徹底されてきた。東レでは、この徹底した現場主義と競争力のある革新的技術の追求により、革新的なものづくりを推進している。
東レの競争力の源泉は、この現場主義により技術を評価し、その技術を徹底して突き詰める企業文化にある。日経ビジネスの日覺社長の記事を拝見したが、主たる事業を展開している繊維産業では、早くから中国などのアジアメーカーの低価格攻勢があり国内産業が空洞化すると言われていた中、現場をまわり競争力の源泉を見つけ繊維事業縮小の判断をせず、今も東レを支える主たる事業として成長を継続している。

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それが50年も継続し続けた炭素繊維への徹底した技術進化の挑戦であり、極限の細さと強さという一見相反する特徴を同時に成し遂げるという繊維の開発に至っている。このような徹底した研究・開発を長期にわたって継続するために、短期的に採算が取れるように技術を様々な用途に適用し技術を磨き上げ続けており、その選定も洗練されている。
市場としてはそこまで大きくはないにせよ、ゴルフシャフトやテニスラケットの軽量化かつ強度を増したことは、利用者には大きなインパクトを与えたに違いない。また、このような技術を成し遂げるには、パートナーの存在も不可欠で、パートナー企業が東レの技術者を刺激し、自社だけではなしえない高い品質の成果物を作り出す。
ユニクロからの技術者の常識を超えた要求にこたえるため技術を追求し、1万回以上の試作を経て爆発的ヒットを記録、世界中で愛用される「ヒートテック」の開発につながった、というのはその1例である。東レの徹底した技術追求はこのような魅力的なパートナーも惹きつける。

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更に、東レは既存の技術を追求するだけでなく、新たな技術創出にも積極的に取り組んでいる。研究所では、研究テーマとして設定する前に、アングラ研究としてそこに20%までの時間を費やすことを許容しており、それが新しい技術の種となるとともに、技術者のモチベーションアップにもつながる。東レの全ての研究・技術開発を統括する技術センターで分断されていない研究・技術開発体制を組み、シナジーを生みだしている。また、オープンイノベーションを推進し、異分野の技術や知見が融合し、新しい技術を作り上げている。
東レは今後も日本のものづくりの源泉である現場主義を徹底して技術を洗練させて新たな技術や価値を創出し、日本の産業を牽引するとともに、日本のものづくりのすばらしさを広めていってくれるものと期待する。(F・K)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第6回

2016年11月05日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社ブリヂストン 取締役 代表執行役CEO 兼 取締役会長
津谷 正明

真のグローバル企業に向けて

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

この度、株式会社ブリヂストンの津谷代表執行役CEOのお話しをお聞きする貴重な機会となりました。ブリヂストンは誰もが知る、名実ともに世界のタイヤ市場を牽引するグローバルカンパニーです。年々、業容を順調に拡大しつつあり、磐石な様相を呈しています。しかし、その裏では熾烈な国際競争、商品やブランドの飽くなき研鑽があり、その結果、ブリヂストンというトップブランドが構築されているという事実を知りました。

curriculum-management-161105-hp-03特筆すべきは、他社とは一線を画す完成された企業理念です。緻密なフレームワークで構成され、実に体系的、今まで見たことがないほど完成されており圧巻の一言です。そして経営の最終目標で本講義のテーマでもある”真のグローバル企業 業界において全てに「断トツ」”は、トップカンパニーでありながら、さらなる高みを目指す姿が如何にもブリヂストンのマインドを表現しています。
思い返してみると、ここ10年程度、タイヤ業界には厳しい時代でした。原材料費の高騰、リーマンショック、円高等々。様々な外部要因がある中、ブリヂストンが戦い抜けた要因は、巨大組織が一丸となって企業理念である”真のグローバル企業”を追及した結果ではないでしょうか。昨今、タイヤ業界で問題視されている環境問題についても、ブリヂストンは率先して向き合っていくことでしょう。

戦略経営の実践の講義において、CEO自らのMBA体験を語っていただいた初めての機会でもありました。現実社会におけるMBAの有用性等、非常に新鮮に感じました。新入社員時代、また経営者になる前後の違い等、津谷CEOの人間味に触れると同時に、自身の将来像を想像する機会となりました。私自身、MBAで学び始めて半年が経過し、入学当初の目的・目標を見失いかけていたように思います。何のために経営を学ぶのか、学んだ事をどう生かしたいのか、改めて考え直す必要性を感じました。

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ブリヂストンはタイヤ事業のみならず、事業の多角化を推進しており、我々の日常生活の中でもブリヂストンに触れる機会が増えつつあります。多くの人がブリヂストンと聞くと一瞬でブリヂストンブランドをイメージできると思います。それはモータースポーツに代表されるアクティブなイメージであり、また、日常生活に密着した安心安全のイメージです。このように明確にブランドイメージを想像できる日本企業は、ほぼ皆無に等しいのではないでしょうか。まさに日本を代表するエクセレントカンパニーです。
今回の津谷CEOのお言葉の数々を、今後のMBA生活の糧として仕事も勉学も邁進していきたいと思います。この度は誠にありがとうございました。心から厚く御礼申し上げます。(G・O)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2016年10月29日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
日本製紙株式会社 代表取締役会長
芳賀 義雄

日本製紙 二つの危機を乗り越え 明日への軌跡を描く

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

この度は貴重なお時間を私共RBS一同に頂けましたことを深謝申し上げます。自然の恵みである「木」を大切にすることで、事業創造を豊かにしセルロースナノファイバーという新しい分野へ貪欲に挑戦される姿が、現場を大切にする芳賀会長の想いであると深く感じた次第です。

この度の講義では「日本製紙、二つの危機を乗り越え明日への軌跡を描く」と題し講演いただきましたが、二つ目の危機である東日本大震災からの復興談話は感慨深いものでありました。石巻工場での復興に関するDVDは工場で働く従業員の想いが伝わる素晴らしいものでした。会社とは家族のことを守る大切な場であります。その会社を想うということは、家族を想うことと何も変わりません。石巻工場の皆さんは、大津波という未曾有の災害で会社の大切さを改めて知られたのだと思います。

curriculum-management-161029-hp-03芳賀会長はトップとして果たすべき役割を解りやすくご説明していただきました。先ずは自分の目で見ることで判断や決断が出来る。そしていつまでに何をするかという明確な目標を決めると仰っていました。様々なケースで目標設定や期日設定は行われていると思いますが、町が崩壊し自社工場も崩壊に近い状況での目標設定は誰しもが経験することではありません。過去のデータやご自身も体験されたことのない状況では通常、適切な判断はできないでしょう。しかし、奇跡的にも死者が出ず設備が復旧できる状態であったことが芳賀会長に適切な判断をさせてくれたのではないでしょうか。人が生き設備が生きることで、石巻工場は復興へと向かうとてつもないパワーを生むことができたのです。
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ご高話の中で、震災ではお金の重要さを強く仰っていました。工場被災で資金はどのくらい必要なのか。従業員の給与や復興を手伝ってくれる人々などの手当てはどうするのかなど、必要となるお金を段取りするのも社長の仕事だと仰っていました。銀行の頭取とも交渉し1000億の枠取りをされました。これは日頃から信頼関係のあるお客様をはじめとしたステークホルダーの存在が大きかったのでしょう。「復旧したら必ず御社の製品を使いますよ」という声が銀行を動かす源泉であるはずです。トップとしてお客様をまわり、状況報告と復興への強い意志を伝えることで、従業員は一丸となります。芳賀会長の現場に対する想いが工場を再生する原動となり、芳賀会長のお人柄が現場で働く従業員の心を動かしたことで日本製紙は見事に復興を果たしました。

現実を受け止め、逃げない。現場の重要さを改めて教えていただき、経営者の責任と心構えを感じ取れた貴重な機会でした。この度のご高話に感謝申し上げるとともに、貴社の益々のご発展を祈念いたします。(K・I)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第4回

2016年10月22日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社ダイセル 相談役
小川 大介

ダイセルのものづくり革新の中心に人がいる~100年企業の変革~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

この度は貴重なお時間を割いてご講演してくださいまして、誠に有難うございました。
お蔭様で小川相談役みずから会社の歴史と経営の要諦を語ってくださったことに深く感銘を受けました。
ご講演の中で、大変なご苦労の末ダイセル式生産革新が出来上がったこと。そしてその仕組みを多くの企業に広める理由として「結局は自社のためになり、日本の産業全体にもいい貢献が出来るから」という大義を掲げられてのこと。ダイセル様の躍進は社会に役立つ企業という観点からも当然のことと思われました。このお話をお聴きし、二宮尊徳翁の言葉「遠きをはかる者は富み、近きをはかる者は貧す」を想起致しました。

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ダイセル式生産革新は、作業負荷、アラーム数、品種切り替え負荷等、いずれも90%減など安全・品質・コスト面での大幅改善はもとより、何より社長ご就任前から小川相談役が危惧されておられた硬直した社内風土改革、意識改革に大きな良い影響を及ぼしたことがダイセル式と言われる生産革新の真骨頂ではないでしょうか?そしてその後のグローバル競争に打ち勝ち、得意分野を収益の柱に育て上げられたドラマチックな展開には多くの社員の方々のベクトルがそろっていった情熱のうねりを感じ、それは経営者として素晴らしいご功績であられたと感じ入りました。(バックミュージックにはプロジェクトXの主題歌が聴こえてくるような思いが伝わってきました。)
またお名刺交換の際にお教えいただいたお言葉「一人では何も出来ない。人との関わりを大切にし、人に関心を持つこと。」は、正直私に足りていないところだと痛感しました。私は中小企業の一経営者です。薄々は感じていましたが、その点においては充分ではなかったと思います。強い志を持って、早速今からでも改めたいと思います。

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ご講演を通じて感じたことは、小川相談役の飾らないお人柄、意見は相手の役職に関わらず言う、トラブルにすぐ首を突っ込む等、リーダーとしての魅力ある人間性と覚悟を感じました。様々なヒト・コトに興味を持って「感性」と磨き、私も小川相談役がなされたような風土改革を自社でも巻き起こしたいと思います。お伺いしたいことは沢山ございますが、今回はご講演を拝聴出来て、本当に良かったです。

これからの株式会社ダイセル様の益々のご発展と小川相談役のご健勝を願っております。この度は本当にありがとうございました。(A・M)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第3回

2016年10月15日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
野村ホールディングス株式会社 取締役会長
古賀 信行

これからの企業経営を考える ~野村ホールディングス~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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この度、野村ホールディングスの古賀会長のお話しを拝聴し、巨大なグローバルカンパニーである野村グループを率いる「トップリーダーとしての気概」を言葉の節々から強く感じました。
まず、意外に感じたのは、28,000名超をかかえる業界最大手にもかかわらず、常にベンチャースピリットを持ち続けておられる点です。通常、業界最大手で二番手以降に追われる立場になると保身に走りがちですが、古賀会長の口からは「鼓励創業 寛容失敗」や「新産業の創出」等、現状に満足せず、常に変革を求めるベンチャー企業家のような意気込みが伝わってきます。その言葉の背景として、従来の証券業に抱くイメージを払拭したいという想いが見え隠れしていたように感じます。旧来の株屋ではなく「証券業は次代(新産業)を創造する使命がある」、私にはそのように聞こえました。

また、証券業の実態についてのお話しをお聞きし、その厳しい経営環境を改めて認識しました。2000年代にはオンライン証券の台頭、金商法の大改正、ここ数年では銀行系証券の乱立が話題となっており、厳しい規制の中で少ないパイの争奪戦が繰り広げられています。どの証券会社も埋没せず生き残るための道を模索している中、野村グループは異色を放っていると私は感じます。他社がキャッシュバックやポイント還元等で顧客を一本釣りし、一喜一憂する最中、野村グループは証券業の将来を案じ、子供への投資教育や投機という誤った理解の払拭に傾倒しています。決して貯蓄は悪ではなく、投資の有用性を広く浸透させることにより、莫大な国民貯蓄を健全な投資へ向かわせようとする姿勢に感銘を受けました。野村グループが推進する「グローバル化への対応」「ダイバーシティ&インクルージョン」「コーポレートガバナンス」、どれをとっても首尾一貫しており、納得のいくものです。

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先日、麻生太郎財務大臣の証券業に対する発言が波紋を呼びました。非常に主観的な凝り固まった感情であり、とても容認できるものではありません。証券業を指導する立場にある人物とは思えない発言であり、証券業が一般国民に浸透しない根源を垣間見たように思います。「貯蓄から投資へ」、この言葉どおり実態経済に投資が浸透すれば、低迷する経済の起爆剤になることは明白です。一般消費者に正しい理解が浸透するまでに時間はかかりますが、適正な規制・啓蒙・教育を産・官・学で密に取り組めば、欧米並みの個人投資が進むものと期待できます。
金融業界に身を置く一人として、古賀会長と想いを共に、正しい投資への啓蒙に邁進したく思います。貴重なお話の数々、誠にありがとうございました。(G・I)

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戦略経営の実践(経営者リレー講義)第2回

2016年10月8日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
マツダ株式会社 代表取締役会長
金井 誠太

マツダのブランド価値経営

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

 マツダは、フォード傘下時代に定めたブランド戦略「zoom-zoom」によって、自らの生きる道を定めた。だからこそ、その道で勝つために、あらゆる側面においてベストを尽くした車をつくる。やることとやらないことを明確にし、定めたところで戦い結果を出す姿勢は、ぶれないものづくりの軸を明確に示す。そのために必要な経営として、「ソロバン」だけでなく「ロマン」も両方が大事と金井会長はお考えになり行動された。ここには、企業(とりわけ製造業)の経営に必要な要素が凝縮されていると感じる。技術者であろうと、管理系であろうと、およそ企業に勤める「人」を動かし、底力を引き出そうとすれば、特に「ロマン」の側面が重要である。人が力を発揮し成長するのは、将来に希望を持ち、夢を語り合えるような環境の中で、のびのびと達成すべき挑戦課題に立ち向かうときだと思う。ご自身が技術者のバックグラウンドをお持ちであり現場を知っている、そして、マツダの歴史と共に歩んでこられた金井会長だからこそ、人事施策も含めてその指揮を執ることができたのだと言える。

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では、さらにこの先、マツダブランドの提供価値である、全ての顧客に『走る歓び』と『優れた環境安全性能』をもたらし、より進化させるために、マツダが取り組むべき課題は何か。私の答えは、走る歓びを知らない車好き以外の層への訴求、すなわち、「車(特にマツダの)に乗りたくなる人を増やすこと」である。生活に必要で乗る人やそうではなくても既に車に乗っている人はその歓びを既に知っている、あるいは現状の延長で知ることができるため、現状のアプローチで良い。しかし、私のように車を所有したことがなく、乗る機会もない者※にとっては、デザイン(技術も含めて)がどれだけ優れていても、なんとなく敷居が高く、例えばCMを見てもあまり心を動かされない。優れた技術で最高品質の車をつくる、これは日本の得意技であり、マツダはこれに加えて、デザインの良さでコアなファンを掴む。市場はそれを求めているか、メーカー発信になっていないか再確認し、「いいものをつくる」ことだけに固執せず「顧客」を広くとらえることが、マツダブランドをさらに強くすると考える。コアなファンに支えられるブランドだからこそ、新たなファンを作って欲しい。シェア2%を維持・拡大する鍵は、実は「車に乗っていない(運転していない)人」が握っているのではないか。乗りたくなるデザインと技術で、車好きに誘導する、そんなブランドであっても良いのではないだろうか。

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 マツダといえば走る歓びを感じさせてくれるブランドだが、一歩進んで、その歓びを教えてくれるブランドにする。そのようなブランドは他にない。私がマツダの歴史やものづくり、経営を知ったことがきっかけで「マツダの車なら運転してみたい」と思ったように、伝え方や巻き込み方(教習所のペーパードライバー講習と組んだ試乗イベント等)の新たなアプローチに期待したい。マツダなら実現できると確信する。(U・R)

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