戦略経営の実践(経営者リレー講義)第1回

2014年9月27日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社クラレ 相談役
和久井 康明

(株)クラレ和久井康明相談役の講義から学んだこと

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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「独自性」の重要性
今回の講義で、まず印象に残ったのは「独自」という言葉である。経営理念、事業でのこだわり、競争力、その他の局面に置いても、(株)クラレ(以下、同社)では「独自」という言葉がどの局面でも一気通貫しているものと感じられました。
経営理念における「独自技術の開発にこだわり、安易な技術導入、模倣を極力抑制する精神」、事業でのこだわりでも「真に頼むべきものは、自らの内にある力のみ、模倣や他人の知識の買収による事業は評価しない」など同社においての成長の要因は、「独自性」を開発・育成・伸長させてきた事であると認識しました。
また、同社のモデルこそが現在および将来の日本の製造業が目指すべきベンチマークとなるのではないでしょうか?日本の製造業が汎用品で大量生産・大量消費で競争をしても最早、新興国との価格競争で勝利する可能性はありません。今後、世界市場で戦って行く為には高付加価値の製品を独自技術で開発し、質的優位を確保することにより非価格競争力で勝負するしかないと考えます。

「強い財務体質」を基盤とする「選択と集中」curriculum-management-140927-HP-03
次に印象に残ったのは、事業ポートフォリオの「選択と集中」です。同社では独自技術で開発した質的優位のあるコア事業に資源(設備投資・M&A、人)を集中させるのはもちろんであるが、低採算事業については、情に流され合理性に欠けることが無い様に事業再評価基準をルール化し毎年行うことにより、選択と集中、裏を返せば淘汰と排除が行われている。
そして何より同社の強みであるのが「強い財務体質」があるからこそ、この「選択と集中」を行うことができる点である。同社の強みである独自技術はオンリーワン製品になるために顧客と一体となり用途開拓を行うためテイクオフに時間が掛かるが、これも「強い財務体質」があればこそ可能なのである。
今回の講義では、「選択と集中」は「強い財務体質」を築いてこそ行うことが出来るのだと学びました。独自技術の開発が高収益性に繋がり、高収益性が収益構造を改善し、財務体質を強化、そして強い財務体質を背景にまた独自技術を開発。この好循環を継続できたところに同社の強さがあるのだと理解しました。

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理想を貫く(サステナビリティ)
これは和久井相談役が社長としての経験のところで言及されたキーワードである。経営者の資質として決断力や発信力が重要であり、生まれながらの才能よりも人徳が重要。これらを育てる為には良質な人脈を築く事が必要。上記2つにも通じるものがあると思います。経営者となるためには汎用商品、つまり人マネでは評価に値せず、真に頼むべきは、自らの内にある力のみ。そして、その力を醸成するのは幅広く良質な人脈と、そこで得られる質的優位な経験。この好循環を継続し、自らの能力を高め、理想を継続することが大切である。今回の講義では、和久井相談役の貴重な経験談・考え方を拝聴できると共に、私にとって今後どのように人生を歩んで行くべきか大きな示唆となりました。(E.I)

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