戦略経営の実践(経営者リレー講義)第8回

2016年11月19日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
武田薬品工業株式会社 取締役会長
長谷川 閑史

タケダのグローバル化への挑戦

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

講義で特に印象に残ったキーワードは、「変化を恐れるな」、「耐える」、「勇気」です。 一つ目の「変化を恐れるな」は、冒頭「何もしないことは死んでいるのと同じ、最大のリスクテーキング」と言い切られたところです。このフレーズを聞いて何か背筋が伸びました。本来の経営者の仕事である勇気をもって変革を起こし続けることを忘れていた気がします。いや、やらなければいけないことが解っていても出来るだけ後回しにしてきた気がします。何もしないことは最大のリスクであるということを肝に銘じようと思いました。

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二つ目の「耐える」は、2つの大型M&Aを行ってすぐには結果が出ず、株主総会や多くの場面でキツイ嫌味な意見を言われてきたことに対し「いじられることに耐えるのも経営者」と堂々とお話されたところです。経営環境の変化が激しい今日、多くのことが予測困難な上、すぐに結果が求められます。しかし、そんなに計算どおりに物事は進みません。目先の数字を追い求めて一喜一憂、駄目な場合はどうしても心が折れてしまいます。でも長谷川会長は自分を信じて結果を信じ堂々と行動・実施されておられます。また、そのために周囲を説得し、巻き込む力も大事というお話もありました。決断したことを前に実行させるにも人の巻き込みが大切であることを教えていただきました。また、「耐える」というのはタケダイズムの「不屈」にも繋がります。誠実・公正・正直・不屈のタケダイズム。長谷川会長の誠実さが大型M&Aの行動力につながり、公正に正直に判断され、批判や反対勢力に対しても不屈で実行できたように思います。

curriculum-management-161119-hp-01三つ目の「勇気」は、外国人後継者の選定です。後継者選定においては創業家や抵抗勢力の中で、「残念ながら現在はグローバルで戦える日本人の人材がいない」と論理的に選定されました。非常に勇気ある選択であると同時に精神的にも肉体的に過酷な選択であったと容易に想像できます。何もしないことは最大のリスクというポリシーと決断力、そして武田薬品工業がグローバル競争の中で生き残るためには誰かがしないといけないという長谷川会長の使命感を強く感じました。

 

講義後の質問タイムで、経営者として大切なことは、①公私混同しない ②勇気・決断力 ③精神的なスタミナと3つを出されました。上記で私が印象に残ったキーワードと大きくかぶっていますが、経営者の資質として必要なことは、将来の会社のため<公私混同しない>ということや人を巻き込みながら判断<勇気・決断力>、動じない気持ち<精神的なスタミナ>だと再認識しました。

ボストンとシリコンバレーの成功要因として、多民族で多種多様な人が毎日ぶつかり合いながら、そのクラッシュが力になるというお話でした。ひとりの人間ができることは限りがある。ひとつの国でも同じ、まさに文化や文明というのは交じり合って揉まれながら進化していく。私もひとりのひとつの考えではなく、恐れずに多くの多種多様な人と意見を戦わせてそれを力にしたいと思いました。本日は本当に有難うございました。(Y・S)

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