戦略経営の実践(経営者リレー講義)第3回

2016年10月15日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
野村ホールディングス株式会社 取締役会長
古賀 信行

これからの企業経営を考える ~野村ホールディングス~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

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この度、野村ホールディングスの古賀会長のお話しを拝聴し、巨大なグローバルカンパニーである野村グループを率いる「トップリーダーとしての気概」を言葉の節々から強く感じました。
まず、意外に感じたのは、28,000名超をかかえる業界最大手にもかかわらず、常にベンチャースピリットを持ち続けておられる点です。通常、業界最大手で二番手以降に追われる立場になると保身に走りがちですが、古賀会長の口からは「鼓励創業 寛容失敗」や「新産業の創出」等、現状に満足せず、常に変革を求めるベンチャー企業家のような意気込みが伝わってきます。その言葉の背景として、従来の証券業に抱くイメージを払拭したいという想いが見え隠れしていたように感じます。旧来の株屋ではなく「証券業は次代(新産業)を創造する使命がある」、私にはそのように聞こえました。

また、証券業の実態についてのお話しをお聞きし、その厳しい経営環境を改めて認識しました。2000年代にはオンライン証券の台頭、金商法の大改正、ここ数年では銀行系証券の乱立が話題となっており、厳しい規制の中で少ないパイの争奪戦が繰り広げられています。どの証券会社も埋没せず生き残るための道を模索している中、野村グループは異色を放っていると私は感じます。他社がキャッシュバックやポイント還元等で顧客を一本釣りし、一喜一憂する最中、野村グループは証券業の将来を案じ、子供への投資教育や投機という誤った理解の払拭に傾倒しています。決して貯蓄は悪ではなく、投資の有用性を広く浸透させることにより、莫大な国民貯蓄を健全な投資へ向かわせようとする姿勢に感銘を受けました。野村グループが推進する「グローバル化への対応」「ダイバーシティ&インクルージョン」「コーポレートガバナンス」、どれをとっても首尾一貫しており、納得のいくものです。

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先日、麻生太郎財務大臣の証券業に対する発言が波紋を呼びました。非常に主観的な凝り固まった感情であり、とても容認できるものではありません。証券業を指導する立場にある人物とは思えない発言であり、証券業が一般国民に浸透しない根源を垣間見たように思います。「貯蓄から投資へ」、この言葉どおり実態経済に投資が浸透すれば、低迷する経済の起爆剤になることは明白です。一般消費者に正しい理解が浸透するまでに時間はかかりますが、適正な規制・啓蒙・教育を産・官・学で密に取り組めば、欧米並みの個人投資が進むものと期待できます。
金融業界に身を置く一人として、古賀会長と想いを共に、正しい投資への啓蒙に邁進したく思います。貴重なお話の数々、誠にありがとうございました。(G・I)

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