戦略経営の実践(経営者リレー講義)第1回

2016年10月1日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
ANAホールディングス株式会社 代表取締役会長
伊東 信一郎

ANAの挑戦~世界のリーディングエアラインを目指して~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

伊東会長のオーラ
3万人超の従業員を率いる、日本を代表するリーディングカンパニーのトップがお出でになるということで、講義前の教室には一種の緊張感がありました。しかしながら、伊東会長が教室に入られた途端、場の空気が一気に明るく、和んだように感じられました。時折、私達院生と目を合わせながら、終始柔和な表情で語りかけて下さる姿に、伊東会長のお人柄を感じつつ、御社の機内でおもてなしを受けたのと同じ心地よさを覚えました。
「経営と現場の意識の統一」は、経営トップである伊東会長自身が率先して体現しておられ、それを従業員の方々が目にする機会があることで、信頼という形で伝播し、企業文化として形成されているのではないかと想像いたしました。

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現在窮乏 将来有望
今回、伊東会長にお聞きしたかったことの1つが社長就任当時の心境についてでした。「えらい時になったなぁ」、「最後の社長になりたくないぞ」という率直なお言葉と、「現在窮乏」とご自身に言い聞かせていたというエピソードから、経営者たる者の胆力を感じました。加えて、赤字続きの国際線の継続や、経営が苦しい時にも絶やさなかった機材投資により「将来有望」を実現された先見性を伊東会長はお持ちでいらっしゃったのだと思いました。
御社の挑戦の歴史の中でも、とりわけ厳しい時代を切り抜けて来られたのは伊東会長の強いリーダーシップがあったからこそであり、その危機感を全社で共有するなかで培われた求心力は御社のDNAとして今後も受け継がれていくことでしょう。

事業再生の本質的課題
正直に申し上げて、今まで御社が公の場でJAL再生について発言すればするほど、御社のイメージに傷が付くように感じておりました。本日、伊東会長から直に、問題の本質は政治と行政にあることと、むしろ現場へcurriculum-management-161001-hp-01は敬意を表されているのを伺い、私は誤解をしていたのだと気が付きました。経営者として言うべきことは言い、戦うことも辞さない毅然とした姿勢を示されることで、従業員は勇気を与えられたと同時に、自らの足で立っている自社に誇りをお持ちになられたことと思います。
グローバル競争の激化で、今後も公的資金注入による企業再生は起こりうると考えられます。その時、国は行動制約をいかに発動し、フェアな環境を整備するのかを考える上でも、極めて意義深い、問題提起を御社はなされているのだと認識いたしました。
最後に、2020年「ANA」のロゴが付いた青いMRJが聖火を運ぶ姿が見られることをとても楽しみにしております。改めまして、本日のご講義に感謝申し上げます。(A・J)curriculum-management-161001-hp-04