戦略経営の実践(経営者リレー講義)第1回

2020年9月26日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長
井阪 隆一

「セブン&アイ・ホールディングスの経営戦略」

立命館大学 大学院 経営管理研究科(RBS)は、㈱セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長の井阪隆一氏を招聘し「戦略経営の実践」の特別講義を行った。院生レポートを中心に当日の講義内容を紹介する。

 

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生活産業であるコンビニ・スーパーは、常に社会変化の影響を受けています。人々が持つ価値観の変化に合わせてスピード感をもって対応するだけでなく、各スーパー・コンビニがその街の生活拠点となっており、本社だけでなく加盟店と共存共栄していくことが重要であると強く感じる講義でした。特に現在はCOVID-19 により人々の生活スタイルや価値観は大きく変化しており、将来への見通しは不明瞭な中で、今後のビジョンを考えていくには難しい状況に置かれていると感じます。
しかしながら、どの時代でも新たな課題に対する解決策を実現していく姿こそがセブン&アイ・ホールディングスの成長につながっているのだと考えると、今こそチャンスではないでしょうか。井阪社長が実践されてきたお話を伺いながら、きっと今後もその姿勢を示し、実行することで私たちの生活の身近な便利さを提供し続けてくれると思いました。私が社員であれば、むしろこの悩ましい時代こそ新たなことに挑戦できる会社であることで、ワクワクしているのではないかと思います。
DXへの挑戦を行い省人化しつつも、Social Platformで居続けるために、他とは違う優しさを持った店作りを行ってほしいと思います。日本の高齢化はさらに進み、一人暮らし世帯は増え、デジタルに遅れを感じてもそれを助け合える家族がいない人々も必ず生まれます。郊外の買い物難民を救い、百貨店や専門店など本物の質の良い商品をもっている企業だからこそ、専門店とコンビニエンスストア、スーパーの整理を行い、便利さと質の良さを兼ね備えた新しい店づくりを期待します。百貨店、スーパー、コンビニという業態の枠にとらわれることなくグループを越えた店づくりを行ってほしいです。

 

今再びコンビニは同質化しつつありますが、専門性の高さは強みだと考えます。スーパーは食品さえ買えればいいのではなく、同等の価格で日々のちょっとした変化を提供しています。外出自粛期間の唯一の外出はスーパーへの買い物でした。毎日同じような食事であったのをスーパーでの展示により、家の中で出来るイベントとして新しい料理に挑戦するなど機会に恵まれました。そして、家族以外の会話もスーパーの店員さんでした。人と話す重要性もまた実感する日々であり、買い物の楽しさを思い出しました。地域の専門的な知識をもつ人との結びつきも提供価値であると感じます。省人化しつつも、必要な人材を残し人と人の温かさを魅力にブランドにあった店づくりを展開していただきたいです。

 

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経営成績の悪い店を整理すべきではないか、という質疑を受けた際に、井阪社長がその土地で働いている人々の生活やお店のファンがいる中で簡単に閉めるわけにはいかないというのは、セブン&アイ・ホールディングスが人々のライフラインとして世の中に存在する意義を持って運営されているという心のうちや、人の温かさを感じる一面だったと思いました。変化の重要性をお話しいただくとともに、井阪社長からはモノづくりへの熱意も感じました。お客様のニーズを常に考え、変化を恐れずにより良いものを提供することで存在するということは、どの企業にも忘れてはならない大切な信条であり、自らが何か重要な判断を行う場合に必ず思い出したいと思いました。
お忙しい中でありながら、貴重な実例と経営者としての心構えについてお話頂けたこと、大変感謝いたします。
(Y・M)

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