戦略経営の実践(経営者リレー講義)第1回

2008年9月27日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
日本電産(株) 代表取締役社長
永守 重信

情熱・熱意・執念の経営

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

永守社長の講義から学んだこと

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今般の講義の印象を一言でいえば、非常に刺激的かつ迫力があったことである。

私は、立命館の経営大学院に入学して以来、極力、機会をとらえては、いろいろな講演、セミナー、公開講義、展示会等に顔を出してきた。講演者は様々で、学者、研究者、評論家、政治家、経営者等多岐にわたっているが、それらと比較して、大変な迫力であった。

それぞれ、各界の専門家の説明・コメント・意見は、大変参考になったことは 事実であるが、永守社長の最大の特色は、まさに自らのたゆまぬ実践に裏付けられた重みではないかと思う。そして、いくつかの発言の中で、心に残っているのは、「人の能力は、大差がなく精々、2~3倍の違いだが、やる気の違いは大きな差があり、100倍違う」というコメントである。日本電産はたくさんの企業買収を行ってきたが、ことごとく不振企業を立て直すにあたって、(かつての業績不振時の経営者をも含めて)首切りを行わず、特別チームを大々的に送り込むような荒療治もやっていない、極論すれば、同じ条件の下、ひとのやる気を変えることで企業再建を果たしたというのは驚きであった。

現代は、知識社会と言われ、さまざまな知的・独自ノウハウの蓄積が差別化のポイントと言われているが、私は、実のところ、それは、ものとか、金に関係するノウハウもさることながら、究極のポイントは「働く人のやる気」、つまり、「ひとの問題」、ヒューマンスキルに集約されるのではないかと思っている。但し、ひとの問題というのは、お互いに「心」、「気持ち」という感情があるだけに、ある意味で対応は非常に難しい。外見では同じように見える行為であっても、時と場合で反応が必ずしも同じとは言えず、また、感情はつかみどころがないのも事実である。

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永守社長は、この人の心、気持ちをとらえる抜群のセンスととともに、まずは、自らが率先する点が、本当にすごいなと思う。それも、喜々としてひとのやる気を引き出し、自発的に仕事に取り組むように意識改革を進めていく。

ひとは、やる気で大きく変わり、自ら意識して取り組みことで、効果は格段にあがる。はっきりとそう思う。但し、ひとつ気がかりなのは、一方で、「ひとは、善なれども弱い存在でもある」という点である。特に、数が増え、距離が離れ、文化が違い、多様性が増してくると、ひとつひとつの弱さが増幅することがあり得るし、図らずも悪さをするという点は押さえておかなければならないと思う。  (M2 K・K)