戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2008年10月25日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
日本写真印刷(株) 代表取締役社長
鈴木 順也

B to B企業のマーケティング戦略 ~Trend Meets Technologyの実践~

以下は、当日の講義風景と講師の記念色紙、受講した院生のレポートです。

今回のご講義で特に私が印象に残った点が3点あります。

一つ目は、“理論的フレームワーク”の大切さです。慶應の大学院商学研究科を出られているので、講義の中にMBAで勉強していて出てくる言葉や考え方がたくさんありました。さらに言葉だけでなく、実際にそのフレームワークを使って経営をされ、現在の高い業績をあげられています。これまで講義をされた経営者の方々はMBA的な考えというよりは、経験の中から独自に経営哲学を開発された方が多いと思います。私自身、学部curriculum-management-081025-02を卒業し一年働き、すぐ辞めてMBAに来ています。しかし、社会経験が多い同級生(経営者も含む)が多く、その経験のレベルの違いを痛感していました。目標は経営者ですが、ちゃんと社会にでてから来るべきなのかとも思いました。しかし、本日、鈴木さんが「ロジカルフレームワークをしっかり持つことは無駄じゃない!」と仰っていただいたことで、不安が飛び去りました。フレームワークの土台をちゃんと築いて、これから有効に使っていくことが大事なのだなと思いました。確かに今すぐには役に立てることができないかもしれませんが、それが無い人よりも経営者になるための土台になると思います。鈴木さん自身がそれを実行されているので、とても心強くなりました。

二つ目は、一つ目と関連しますが、“戦略を実際に活かしていること”にとても 感心いたしました。たとえばポーターのファイブフォースであったり、競争戦略であったり、BSC(バランスドスコアカード)であったり経営学を学んだ者は絶対知っているであろう戦略、手法を使いそれを実際の経営に使っていらっしゃるのは素直にすごいと思いました。鈴木さんもおっしゃっていましたが、経営は答えがないのでその戦略を使えば絶対うまくいくものではありませんが、それらフレームワークを使う重要性がわかりました。curriculum-management-081025-03
三つ目は、NISSHAの予見性(先を見据える力)です。2000年からの集中戦略は鈴木さんが中心になってされたのではないかと思うのですが、それより先の、1960年から80年における差別化戦略の方向性には、大変驚くところがあります。なぜならば、時は高度経済成長の時期であり、一般的にはコストリーダーシップ的な流れになりそうなのですが、そうではなかった。この時期には鈴木さんは会社にはいらっしゃらないので、先代の経営陣の方々にも冷静にロジカルに先を見据える力があったのだと思います。こう考えると鈴木さんが今持っているロジカルさは商学研究科で手に入れたものだけではなく、NISSHAの企業文化なのではないのかと思っています。“最終消費市場の動向を先回りして捉える。“OEMメーカーとダイレクトな関係を構築する“”課題を把握する“など他のメーカーがやりたくてもなかなか出来ないことを、もうすでにやっているところがすばらしいと思いました。以上、本当にありがとうございました。  (M1 H・N )