戦略経営の実践(経営者リレー講義)第6回

2010年11月6日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
curriculum-management-101106-02ソニー生命保険(株) 取締役会長
安藤 国威

「ハードからソフト・サービスへのビジネスモデルの転換」
~ソニーの金融サービスグループの挑戦~

メーカーに勤務する自分は、新規事業に携わっている。そのテーマは“ハード”と“IT(ソフト)”の融合である。今回の講義は、非常に興味深い内容であった。大きく成長してきた企業のストーリーを知り、自分の考えを深めることができた。

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1. 企業文化
ソニーグループには「明確な経営哲学」がある。“企業文化”をトップから直接聞けたことに価値があると感じた。それは「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という設立趣意が、企業文化や事業戦略にそのまま表れていることである。事業成長への考え方に独自のものがある。集まってきている人材の気質も感じられる。ソニーの考え方が、全て正しいとは言い切れないが、他社が見習うべきところは多い。

2. 商品価値の創造
グローバル時代に突入している現在、商品価値をいかに維持していくか。技術力だけでは、生き残れない。例えば、テレビに求められているものは何か。これから攻めていく新興国のターゲットである中流層では、「映像が見ることができる」である。
コモディティ化された中品質低価格が求められる。先進国では高機能を付けても、すぐに価格競争に巻き込まれる。“モノ”だけでは、中長期的な観点で生き残っていけない。しかし、“ものづくり”だけでは、生き残っていくにはハードルは高い。
そうなると、選択肢とすれば「自社で持たない」で、異業種企業と強みをいかに上手く絡ませ、協業していくことができるかが、成長のポイントになるのではないだろうか。

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3. 成長へのキーワード
安藤会長のお話には、企業が成長するヒントとなるキーワードが埋め込まれていた。役立ちそうなものを挙げてみる。「価値連鎖型」、「商品のイメージを変えた(VAIO)」、「新しい事業領域では、土俵を変える」、「いかにルールを破るか」、「変化できるものが生き残る」、「突然変異と自然淘汰」、「寡占化に持ち込む」、「周囲を巻き込む」などであった。

まとめると、“常に新しい変化を生み出す知恵とパワー”が重要だということである。新しい変化はリスクも多いため、コンティンジェンシー・プランを常に考えておかねばならない。また、「結論は変えない」など“変化すべきこと”と“変えてはいけないこと”の明確化も重要である。変化の中にあっても、軸がぶれないことが大切である。(M.K)

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