戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2010年10月30日(土)

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国際経営特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
講演者
curriculum-management-101030-02日本GE(株) 代表取締役社長
藤森 義明

GEと私の人生~グローバル時代をどう生きるか~

毎回毎回、個性豊かな経営者の方々の講義を拝聴しているが、藤森義明社長の発せられるエネルギーに圧倒されたというのが今回の正直な感想である。GEの人事システムは経営政策の講義でも教えて頂いていたので、どんな方なのだろうと楽しみにしていたが、私の想像の及ばないような強烈な競争社会で戦ってきたという自信と実力が緊緊と感じられ、敬服している間に終わってしまったという感覚だった。また、質問に対する回答が非常にロジカル且つ明解であり、私の目標とする経営者像そのものであった。

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今回吸収することができた内容は、リーダーシップについてである。非常に多くの要素が含まれた言葉であり、人に説明できる程度に自分の中で消化できていなかったが、経営政策・戦略経営の実践の講義を通じて得心することができた。それは、部分的に重なり合った2つの要素で成り立っており、1つは『自分の権限の及ばない人達を動かす力』、もう1つは『ビジョンを示し、変化を起こし、その変化を完遂する力』だということである。私が部品メーカで働いていた頃、セットメーカーやサプライヤのエンジニアともっと上手く協調する為には自分のポジション(肩書き)を上げるのが最も効率的だと考えていた。しかし実際は、自分が相手に対してビジョンを上手く示していなかった為に、相手の能力を充分に引き出せていなかったのではないかということに気が付いた。ディスカッションの内容や帳票類の完成度ばかりをアウトプットのクオリティーと認識し、企業によるバラつきをなんとか出来ないかと苦心していたが、そこに至る前にもっと考慮するべき事項(お互いに目指すべき目標の共有)があったことを現在は明確に理解することができた。ただ、私は以前からリーダーシップというこのカタカナの語感があまり良くないので、今後は統率力という言葉として積極的に意識して行動したいと考えている。

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次に、吸収することができた内容は、人材育成の考え方である。私が将来、部下や従業員を率いる立場になれるのかは分からないが、リスクを取ってある程度大きい権限を委譲するという手法は常に頭に置いておきたいと感じた。これも、上記統率力に関連することだが、明確なビジョンを部下や従業員に示すことができれば、積極的に権限を委譲でき、チャレンジしたチームがさらに成長するという理想的なスパイラルを描くことができる。「言うは易く行うは難し」の典型例かもしれないが、自分がリスクを負うのだという胆力を身に付けなければならないと感じた。
今回の講義は、130年以上に渡り事業が成立するGEの成功の源泉は人材であり、その人材のベクトルを同一方向に向かわせるものが企業文化であるということを肌で感じる機会となった。(T.K)

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