戦略経営の実践(経営者リレー講義)第5回

2018年10月27日(土)

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特殊講義:戦略経営の実践
濱田 初美 教授
特別講師
株式会社安川電機 代表取締役会長
津田 純嗣

経営の歴史と未来

立命館大学経営大学院(RBS)は、㈱安川電機 代表取締役会長の津田純嗣氏を招聘し、「戦略経営の実践」特別講義を行った。受講生レポートから当日の内容を紹介する。

講義から学んだこと
電動機(サーボやインバータ)、ロボット産業分野で世界トップレベルのシェアを占めている理由がよく解りました。メカトロ二クスコンセプトを世界に先駆けて提唱され、電動機を主体としながらもcurriculum-management-181027-hp-02一早く「物づくりのオートメーション化の時代がくる」と市場の先読みをされロボット事業に取り組まれました。
TQC活動を始めとした企業文化の転換に成功され、チャレンジ精神をうまく残しながら、会社方針に社員のベクトルを合わせることで最先端の技術と製品を生み出す原動力を強化されました。さらに近年のIndustrie4.0では、現場で実際に困って求められているフィジカルへのアプローチに重点をおき、BTO生産等、他社との差別化が図られています。需要を的確に捉えられており、今後益々成長されると思います。

講義で最も感銘を受けたのは、御社の経営理念「社会の発展、人類の福祉に貢献することにある」と社是「技術立社」に基づいた製品開発をされていることです。先ず、ロボットの元々の開発理由が3K職場撲滅というのは、非常に素晴らしいと考えます。初めは、あまり利益が上がっていなかったとのお話でしたが、当初の開発理念を信じ継続開発されたことで徐々に社会に浸透し、今では無くてはならないものになっており、多品種少量生産の時代では、更に重要なものになっていきます。

現在、取り組んでおられる医療・福祉機器も将来的には社会に広まり利益を生む事業になるに違いないと思います。このような社会や人に貢献する技術は、いつか必ず世界に広がることになると感じました。

自社の製品開発においてもこの概念はとても参考になり常に意識していきます。

curriculum-management-181027-hp-03次に「技術立社」を重視されており、「無いものは自分たちでつくる」という方針が御社の大きな強みになっていると感じました。この方針から、アクチュエーター、モーション制御技術、ロボット技術など次々に最先端製品を生み出され、工場生産ラインの大部分を御社製品でカバーし優位性を築かれています。また、デジタル化推進の時にOS開発まで手がけられた経験は大変だったとの事でしたが、御社のキャパシティ把握に役立ち、今後の開発に活きるのではないかと感じました。
自社でもどこまで開発出来るかは良く議論になりますが、御社のように限界ギリギリまでチャレンジすることは、キャパシティ上限の拡大に繋がると思いました。curriculum-management-181027-hp-06

所感と今後の展開案
御社の変革、成長に大きく関わられた津田会長のご経験・お話は大変学びになりました。会長のハッキリしたお考えや本音のご意見は、ロジカルで本質を突いているものであり、とても引き込まれました。
本社を北九州から動かさない理由や少子高齢化による労働力減少対応のため、生産ライン自動化は単純に人を機械に置き換えるのではなく、半自動や協働がキーになるなどのお話は非常に納得感がありました。
今後の提案として、医療介護用機器は国内では保険点数が付かないと広がり難いとおっしゃられ、中国の方が先に市場になるかもとの事でした。そういう状況であれば、受け入れてもらえるところに先に入る方が、実績になり効果的にアピールできるのはと考えます。 (M・S)

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