Ⅱ 先生からのメッセージ

2014年3月23日、立命館朱雀キャンパスで挙行された学位授与式にて、修了生代表を務め
る青木哲さんの晴れがましい姿があった。濱田ゼミからは杉原淳さんに続いて二人目の首席
修了である。これまで多くの濱田ゼミ修了生が好成績を収めて本学を巣だっていった。

今月に入って、昇進や栄転の知らせが相次いだ。福岡に戻った古下裕二さんも、事業が好調
とのことである。縁あって濱田ゼミに学んだ彼らの活躍を嬉しく思う。

有能な社員に、仕事の負担が集中する事は珍しくない。すると、多忙にかまけて自分の可能
性や将来を考える余裕を持てなくなる。所属部署の重宝な人間に甘んじていては、井の中の
蛙になってしまう。

しかし、持てる能力を発揮するチャンスは必ず来る。来るようにすれば良いのだ。そんな人に
こそ、本学経営大学院に学ぶ価値がある。現実の不条理を知る社会人が、再び学ぶ事で得
る力は本物になる。MBAが人生のターニングポイントとなる事を実感してほしい。

私の担当科目は、戦略経営の実践、経営政策、オーナーシップ、競争戦略である。ゼミ
では課題研究と課題研究論文を指導している。机上の空論は、経営には役立たない。ビジネ
スに携わる実務家教員として、事業経営を意識した講義を常に心がけている。

戦略経営の実践(経営者リレー講義)は、日本を代表する錚々たる経営者8名に御指導いた
だく。通常、一流企業のトップは一般社員には雲の上の存在だ。人格、識見とも優れた経営者
に学ぶ稀有な機会である。隔年開講のため、2014年秋の受講を勧めたい。

第1回(09.27) 株式会社クラレ     相談役                 和久井 康明 氏

第2回(04.04) 三菱重工業株式会社 代表取締役会長  大宮 英明    氏

第3回(10.11) 丸紅株式会社      相談役         勝俣 宣夫   氏

第4回(10.18) (株)オンワードHD   代表取締役会長  廣内 武      氏

第5回(10.25) (株)三越伊勢丹HD  代表取締役会長  石塚 邦雄  氏

第6回(11.01) 三菱地所株式会社代 表取締役会長   木村 惠司   氏

第7回(11.08) ミネベア株式会社   代表取締役社長  貝沼 由久  氏

第8回(11.15) サントリーHD(株)    代表取締役会長  佐治 信忠  氏

経営政策は、企業を繁栄に導くマネジメントの在り方について学ぶ。ビジネスの現場で、
企業倫理に悖る(もとる)ことなく最速かつ最適な判断を下し経営を統括する。ビジョン・ミ
ッション・ストラテジー・バリュー、リーダーシップとイノベーションについて議論を深めていく。
最終回は、各自が経営者への就任を想定して経営理念を発表する。

オーナーシップは、経営幹部、事業継承、起業準備に相応しい「企業を繁栄させるインテグ
リティを伴う当事者意識」を養う科目だ。インテグリティとは嘘や偽りのない事を意味する。上
場・非上場、同族・非同族を問わず、リーダーの誰しもが持つべき経営の概念である。経営者
が経営理念や創業の心を忘れ、慢心した時に凋落が始まる。この科目を自らの飛躍のステ
ップとして欲しい

競争戦略は、競合他社に打ち勝ち、収益を獲得する事を目指す。戦略を実行し結果を出す
プロセスをケーススタディで検証する。現場で活用できるフレームワークやコンセプトを学び、
応用力を体得していく。各自がPOD(出発点)とPOA(到着点)を設定し、戦略を立案する。

私の恩師、大石岩雄先生は、戦前の日本にハーバード大学経営大学院のケースメソッドを
導入された増地庸治郎先生の高弟である。企業経営者でもあった大石先生の下で学んだ
「経営のフレームワークや実践の哲学」は、現在も全く色褪せていない。厳しくも温かった御

指導を今も思い出す。恩師に恥じない指導を目指したいと考えている。

『立命館大学MBA・濱田ゼミ』で有意義に学んでいただきたい。

                                                                                                           2014年4月

                                          立命館大学経営大学院(経営管理研究科)教授 濱田初美


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